日本人の労働時間…20年で「10%」も減少
ーー24時間働けますか?
1989年にヒットしたCMソング「勇気のしるし」の一節。いまからすれば、そんな馬鹿なという感じですが、当時は会社に自分を捧げて働くことがサラリーマンの美徳とされていましたから、こんなことを普通に呟いていました。
このときのイメージもあり「日本人は長時間働く、真面目な国民」という自意識を持っている人も多いでしょう。実際はどうなのでしょうか。OECDの発表によると、主要国44ヵ国中、最も年間労働時間が長かったのは「コロンビア」。「メキシコ」「コスタリカ」「チリ」「韓国」と続きます。G7で最も長いのは「アメリカ」で、全体で12位でした(関連記事:『世界主要国「年間労働時間」ランキング<2022年>』)。
【世界主要国「年間労働時間」上位10】
1位「コロンビア」2,405
2位「メキシコ」2,226
3位「コスタリカ」2,149
4位「チリ」1,963
5位「韓国」1,901
6位「イスラエル」1,892
7位「ギリシャ」1,886
8位「マルタ」1,882
9位「ロシア」1,874
10位「キプロス」1,837
出所:出所:OECD 資料:GLOBAL NOTE
では「日本」はというと、44ヵ国中30位。想像以上に低い順位です。経年の推移をみていくと、確かにバブル期の1990年、日本は平均年2,031時間働き、世界で6番目に労働時間の長い国でした。バブル崩壊後は徐々に労働時間は減少し、それに伴い順位も低下。2022年の年間労働時間は、10年前の2012年比で92%、20年前の2002年比で89%、30年前の1992年比で81%。数値上、「長時間働く日本人」は遠い昔のものになっています。
その背景には、単純に日本が不景気となったこと、社会問題化していた長時間労働に関して是正の動きがあったことなど、色々とあったとされていますが、そのなかのひとつが、非正規労働者の増加。
同じくOECDによる、世界の主要国の「パートタイム労働者比率」をみていくと、トップは「オランダ」。「オーストラリア」「スイス」と続き、「日本」は25.07%で第4位。経年の変化をみていくと、バブル期の1990年には13.57%で世界第9位でしたが、その比率は2000年代に入り大きく上昇。2009年には20%を超え、現在に至ります(関連記事:『世界主要国「パートタイム労働者比率」ランキング<2022年>』)。
パートタイム=短時間労働者なので、当然、一般の労働者に比べて労働時間は短め。日本人の年間労働時間の低下に繋がったワケです。
【世界主要国「パートタイム労働者比率」上位10】
1位「オランダ」35.06%
2位「オーストラリア」25.54%
3位「スイス」25.23%
4位「日本」25.07%
5位「ドイツ」22.25%
6位「イギリス」21.88%
7位「オーストリア」21.52%
8位「ノルウェー」20.38%
9位「アイルランド」19.62%
10位「ニュージーランド」19.15%
出所:出所:OECD 資料:GLOBAL NOTE