『スマそう−相続登記−』より

相続人間のトラブルなどを防ぐために行われる銀行口座の凍結。凍結している間は預貯金の引き落としができないため、多くの注意点があります。本連載は、司法書士法人みどり法務事務所が運営するコラム『スマそう−相続登記−』から一部編集してお届け。本稿では、凍結された被相続人の口座の解除方法や、専門家に解除手続きを任せたほうが良いケースについて解説します。

●忙しくて平日に手続きが難しい

銀行窓口は平日の昼間しか営業していません。そのため、口座凍結解除の手続きも平日の昼間に行う必要があります。銀行の込み具合によっては何時間も手続きに費やすことになる可能性があるので、忙しい方には負担になるでしょう。

 

また、もし提出した書類に不足したものがあれば、何度も足を運ぶ必要が出てきてしまうかもしれません。忙しい相続人にとっては負担になるので、確実に手続きを進めるためにも専門家に手続きを任せてしまったほうが良いといえるでしょう。

 

●遠方に住んでいる

被相続人の住所から遠方に住んでいる場合も、専門家に依頼したほうが良いといえます。

 

例えば、被相続人の取引していた地方銀行が相続人の住んでいる地域にない場合、被相続人の住んでいる地に出向いて手続きが必要です。このようなケースには、専門家に代理人となってもらい手続きを進めてもらったほうがスムーズに進みます。

口座名義人の死亡に備えるためのポイント

最後に、口座名義人の死亡に備えるためのポイントをお伝えします。

 

●現金を引き出しておく

葬儀費用や入院費用などは、あらかじめ引き出して現金で保管しておくように被相続人に依頼することも一つの手段です。葬儀費用は、どんな葬儀にするかによって金額は異なりますが、200万円ほど引き出しておけば安心といえるのではないでしょうか。

 

しかし、あまりに高額な現金を所持しているのは、無用なトラブル、犯罪に巻き込まれる恐れもありますので、注意が必要です。

 

また、口座が凍結すると公共料金の引き落としもできなくなってしまいます。その分の現金も引き出して保管しておき、誰が代わりに支払うかも決めておいた方がいいでしょう。

 

ただし、引き出しておいた現金を特定の相続人が勝手な使い方をすると相続トラブルに発展します。相続人同士で揉めないように、十分気を付けましょう。何に利用したかがわかるレシートや領収書を保管しておくと安心です。

 

●生命保険を活用する

生命保険は、預金のように凍結されず、被相続人が亡くなった直後に相続人が現金を受け取ることができます。遺産分割協議をする場合、話し合いが長引けば手元に相続財産が入るまでに時間がかかりますが、生命保険ならそのような心配はありません。

 

また、生命保険は非課税枠があります。法定相続人の数×500万円は非課税になりますので、節税としても効果的です。相続財産が多い場合には、一部を生命保険にしてもらうように財産を残す人に頼むといいでしょう。

 

●通帳やキャッシュカード、印鑑の保管場所を確認しておく

被相続人が亡くなる直前には、通帳やキャッシュカード、印鑑の保管場所を確認しておきましょう。口座凍結解除の手続きには、通帳やキャッシュカード、印鑑も必要になるからです。

 

また、遺言書がない相続の場合、被相続人の財産の確定に時間がかかります。そのため、財産を残す人が亡くなる前に、どんな財産を持っているのかも財産目録を作ってもらったり、どんな資産がどこにあるかヒアリングしたりしておくと安心です。

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