いつまで働くべきか……多くのサラリーマンが頭を悩ませるところですが、この悩みは「年金をいつ受け取るか」とほぼイコールだといえます。いったいいつまで働き、いつから年金を受け取るのがいいのか、考えてみましょう。
月収41万円、59歳サラリーマン、いつまで働く?「60歳」「65歳」「70歳」「75歳」年金をお得に受け取る方法 (※写真はイメージです/PIXTA)

60歳定年…年金受給までの間を埋める「年金の繰上げ受給」制度

20歳で社会人となり、以来、アベレージであり続けた59歳のサラリーマン。給与は会社員人生でピークに達し、月収41.6万円、年収は674万円になっています。

 

定年を前に「いつまで働くか……」は切実な問題になっているでしょう。

 

まず「60歳」で迫られる二択。現状、60歳定年を迎えた7~8割は、再雇用などで働き続けることを選んでいます。残りは現役を引退し、なかには「年金の繰上げ受給」を始める人もいるでしょう。

 

「年金の繰上げ受給」は原則として65歳から受け取ることのできる老齢基礎・厚生年金を希望により60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ること。60歳定年で引退しても、65歳までの間は無収入。退職金で大金を受け取る人もいるかもしれませんが、基本的に貯蓄を取り崩して生活します。

 

――収入がないのは不安

 

そんな人にぴったりなのが「年金の繰上げ受給」だといえるでしょう。請求をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変わりません。いままで減額率は0.5%でしたが、制度改正により0.4%となりました。

 

60歳0ヵ月で年金受給を開始する場合、いままでは65歳で受け取る年金額から30.0%減でしたが、減額率が0.4%となり、24.0%減となったのです。前述のサラリーマンであれば、年金月11.8万円ほどだったのが、月12.8万円となる計算。それが生涯続くのですから、大きな差です。

 

ただし「年金の繰上げ受給」は年金受給までの空白期間を埋めてくれる一方で、前述のように減額された年金額が生涯続くことのほか、他の公的年金がもらえないこと、(満額支給でない場合)国民年金に任意加入できないことなど、デメリットがあることも十分知っておく必要があります。

 

続いて65歳。原則、年金受給の権利を有するようになる年齢です。前述のサラリーマンの場合、60歳で仕事を辞めていれば、厚生年金部分は月10.3万円、国民年金(満額)と合わせて月17万円ほどを手にします。手取りにすると約14万円。単身高齢者の1ヵ月の生活費(消費支出)は、平均14万円ほどとされているので、ギリギリ「年金だけで生活できる」水準です。

 

65歳まで仕事を続け、この間、平均的な給与を手にしていたとしたら、厚生年金部分は10.8万円と、月5,000円ほど年金が増える計算。「たった5,000円」でも、収入手段が限られる年金世代には嬉しい金額です。