【富裕層のための高級老人ホーム特集】
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生活に疲れてしまった。その理由は……
最高な暮らしを手に入れたはずの佐野さんでしが、入居から3ヵ月ほど経つと「疲れた」と感じるようになり、部屋から出ない日が続きました。自分でも理由がわからなかったのですが、長女が面会にきたときに「ここって、非日常が詰まっているわね。まるで旅行に来ているみたい」と言ったことで合点がいきました。
佐野さんの住んでいた自宅は下町にあり、庶民的な雰囲気に慣れ親しんでいました。スエットの上下で買い物に行っても恥ずかしくなかったですし、近所の人とも気さくに立ち話をしたり、駅前のスナックでちょっと一杯を楽しんだりする毎日でした。
ところがこの老人ホームでは、高齢者ばかりのはずなのに廊下を歩くご婦人はきれいに着飾っています。バーで飲む男性陣はスラックスをはき、襟のついたシャツを着ています。佐野さんも周りに合わせておしゃれをして過ごしてきましたが、無理をしている自分に気づいたのです。
風呂も人に気を遣って大浴場を利用するより、自室でさっと済ませるほうが楽です。カラオケをするならみんなで手拍子をして、ワイワイ騒ぎたい。食事も納豆と芋の煮っころがしに漬物に味噌汁のような、妻の手作りメニューが懐かしくなります。望んでいたのはハイクラスな生活ではなく、庶民的で人情味あふれる日々だったのです。
いかに自然体で暮らせるかが、自分にとっての最上級
現在、佐野さんは老人ホームのコンシェルジュルと相談をしながら、自分の生活したい環境への転居を考えています。老人ホームのランキングは集計する調査機関によって基準が異なります。単純に入居者やその家族のアンケート結果で順位をつけている場合もありますし、居室の広さ、共用設備の数、建物の安全性といったハード面、衛生管理、医療体制、入居者一人に対するスタッフの人数といった介護と医療への取り組みなどを数値化しているケースもあります。
しかし佐野さんの例でもわかるように、人によって求める基準は異なるものです。入居前はグレードの高い設備やソフトに価値を感じてしまうかもしれませんが、実際に生活をするとなれば、入居者が自然体で暮らせるかが大切です。佐野さんのような失敗をしないためにも、老人ホーム選びの際には第三者の意見を聞くのが大事になるでしょう。
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