「ゼロゼロ融資」の返済スタートで、倒産する企業が3年ぶり増加…生き残るために知っておきたい「入札市場へ参加する方法」と基本的な流れ

「ゼロゼロ融資」の返済スタートで、倒産する企業が3年ぶり増加…生き残るために知っておきたい「入札市場へ参加する方法」と基本的な流れ
(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年度における、全国企業倒産6,880件の約半数は中小企業が占めており(株式会社東京商工リサーチの調査によるもの)、全体の倒産件数は3年ぶりに前年度を上回りました。なぜアフターコロナに向かうなか、倒産件数が増えたのでしょうか? これは、新型コロナウイルス禍で売り上げが減った企業に向けて実施した、政府系金融機関が実質無利子・無担保で融資する「ゼロゼロ融資」の返済がスタートし、中小企業の負担が増えたためだと見られています。
そこで知っておきたいのが、入札市場の存在です。入札とは、国や地方公共団体などの行政・公共機関から民間企業へと発注される業務、及びその一連のことで、安定的に収益を得るのに役立ちます。本記事では、入札参加の基本的な流れについて、解説します。

まずは基本の流れを抑えよう! 入札の5つのステップ

入札の流れは、次の5つのステップに分類することができます。ここでは、各ステップの詳細を解説していきます。

 

[図表1]入札参加を決めてから落札までの主な流れ
 

 

STEP1 必要な入札参加資格を取得する

入札に参加するためには、原則、各発注機関が求める「入札参加資格の取得」が必要です。それぞれの発注機関や業務内容によって、必要な入札参加資格は異なるので、事前に確認しておきましょう。

 

入札参加資格は種類により取得に時間がかかる場合があるため、もともと気になっている入札案件がある場合には、早めに必要な入札参加資格取得の手続きを進めておくことをおすすめします。

STEP2 入札案件の情報を収集する

入札参加資格の取得と並行して、発注機関のWebサイト、官報に随時掲載される案件の情報をチェックし、自社に合うものを探していきましょう。

STEP3 説明会に参加する・仕様書を取得する

入札したい案件を決めたら、その仕様書を取得します。仕様書の取得前に、説明会への参加が必要な場合もあるため、事前の確認が必要です。

 

仕様書には、入札方式や要件など、見積もりを出すために必要な詳細情報が掲載されています。仕様書の内容に不明な点がある場合は、この時点で発注機関の担当窓口に問い合わせをして解消しておきましょう。

STEP4 案件に入札をする

仕様書をもとに、見積もり、企画書など入札に関する書類を作成します。すべての書類が準備できたら、いよいよ入札を行います。入札には「会場での入札」「電子入札」「郵便入札」の3種類の方法があり、最近では現地に出向かずに入札できる「電子入札」を活用する企業が多い傾向にあります。

STEP5 落札後、契約をする

落札結果は、発注機関のWebサイトに掲載されます。落札結果が発表される際は、同時に、入札に参加した事業者の入札金額も公表されます。無事に自社で落札できたら、発注機関との契約を進めましょう。

入札参加資格は大きく4種類に分かれている!

入札参加資格は、参加できる機関ごとに次の4種類に分かれます。

 

(1)官公庁および関連機関の「物品・役務系案件」に参加ができる資格。一般的に「全省庁統一資格」と呼ばれています。

 

(2)地方自治体の「物品・役務案件」に参加ができる資格(地方自治体毎に取得が必要。但し一部の地域では共同取得が可能)。

 

(3)「建築・建設・土木系案件」に参加ができる資格(官公庁及び地方自治体毎に取得が必要)。

 

(4)独立行政法人などの外郭団体等の案件に参加ができる資格(団体毎に取得が必要)。

 

これらの資格は、さらにランクによって細分化されています。例として、(1)の全省庁統一資格について見てみましょう。全省庁統一資格は、A〜Dの4つのランクに分かれています。このランク分けは、入札参加資格申請時に提出する財務諸表などをベースとし「売上、資本金、流動比率、営業年数、設備等」の合計ポイントによって決定されます。

 

図表2は、全省庁統一資格の各ランクの平均落札価格を示したものです。これを見ると、Aランクは、1案件あたりの金額規模が最も大きく、B、C、Dと順に小さくなっていることが分かります。

 

[図表2]全省庁統一資格ランク別平均落札価格(入札情報速報サービスNJSS調べ)

 

 

ここでは全省庁統一資格を例に解説しましたが、それ以外の資格にもランク分けがあり、そのルールは管轄の機関ごとに異なります。案件毎に参加できるランクが指定されているため、中小企業の場合には「大企業が参入してこない案件を狙って参加し、落札の可能性を高める」といった戦略も有効です。

 

なお、入札参加資格について「どれをはじめに取得するべきか」悩んでいる場合には、まずは参加可能案件数が多く、入札参加資格取得時に費用がかからない全省庁統一資格を取得することをおすすめします。

 

すでに全省庁統一資格を取得していて、「これから案件の幅を広げたい」と考えている場合、自社で対応可能な案件を多く公示している機関の入札案件資格を取得しましょう。自社にマッチした案件が多く揃っている機関の資格を取得することで、参加できる案件の幅を広げることができます。

 

[図表3]各入札資格と平均参加案件数(入札情報速報サービスNJSS調べ)
 
 

 

[図表4]資格取得時に必要な書類など
 

 

次ページやみくもに探すのは非効率! 入札案件の探し方、基本と応用

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録