どうにもならない土地を処分する「4つ」の方法
では、仕方なく相続登記を行った“売れない土地”はどうしたらいいのでしょうか。
不要な土地の処分方法は、大きく分けて4つあります。1つ目は、「自治体へ寄付をする」こと。2つ目は、「相続発生時に放棄する」こと。そして3つ目は、「不動産引受業者に引き取ってもらう」ことです。また、4つ目の選択肢として「相続土地国庫帰属制度」という新しい制度を利用する方法もあります。順番にみていきましょう。
1.自治体に寄付する
まず「自治体に寄付する」という方法ですが、これは実際には99%不可能だと考えていただきたいです。HPなどでこの方法を紹介されているところが多くありますが、実務上は「寄付したい」と申し出ても自治体が寄付を受け入れることはありません。
これは、寄付を受け入れた場合管理コストが自治体側に発生してしまいますし、自治体側が受け取れるはずの固定資産税が減収してしまうことになるためです。これらのデメリットを差し引いても価値があると判断したもの以外は受け入れられないため、自治体への寄付で処分するというのは難しいといえます。
2.相続発生時に放棄する
次に、「相続発生時に放棄する」という方法です。これを実行した場合、いらない土地だけでなく現金など全財産を放棄する必要があるため注意が必要です。
それでもいいのであればこの方法がいちばんかとは思いますが、「相続人全員が相続放棄する」となった場合には“いちばん最後に放棄する人”が管理責任を負うことになりますので、円満解決とはいきません。
3.不動産引受業者に引き取ってもらう
3つ目は、「不動産引受業者に引き取ってもらう」という方法です。現行上はこれがいちばん手堅い方法といわれています。
ただし、実際には、価値がない不動産を引き取ってくれる業者を探すのは大変ですし、高額な引取料がかかる場合もあります。とはいえ、「10年分の固定資産税を払ってでも引き取ってほしい」という方は少なくありませんから、現行の処分方法としてはこの方法が現実的でしょう。
4.「相続土地国庫帰属制度」を利用する
こういった問題のために、不要な土地を国が引き取ってくれる「相続土地国庫帰属制度」が今年(令和5年)4月27日からスタートしました。しかし、利用するには相当ハードルが高いものとなっています。
2.境界が明確である(山林などは厳しい)
3.土壌汚染がない
4.通路などではない
5.担保権や使用権がない
6.管理が難しくない(山林や古家は厳しい)
上記6つなどの条件を満たし、法務大臣の承認が得られる場合には所有権を手放すことが可能です。
とはいえ、境界が明確でない山林などは条件に満たず、また承認が通っても10年分の管理費をあらかじめ納める必要があるなど、利用できるのであればぜひ利用していただきたいところですが、なかなか厳しい制度となっています。
◆まとめ
不要な土地とはいえ、相続登記の放置はメリット以上にデメリットのほうが大きいです。ぜひご自身の状況に当てはめ、心当たりがある方は相続した場合どうするか検討してみていただければと思います。
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加陽 麻里布
永田町司法書士事務所
代表司法書士
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