「異次元の少子化対策」のアウトラインが段々とはっきりとしてきましたが、そんななか、働く親の強い味方である「保育士」は深いため息をついています。過酷な保育士の実情をみていきましょう。
平均月収31万円だが「もう限界です。」20人の3歳児を1人で担当する38歳・保育士「悲しすぎる給与額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

会社員の平均年収よりも100万円も安い「保育士の給与」

なぜ保育士が足りないのか。その一番の原因は「給与」だと断言して問題ないでしょう。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、会社員(平均年齢43.7歳、平均勤続年数12.3年)の平均月収(所定内給与額)は31.18万円。賞与も含めた年収は495.5万円です。男女別にみていくと、男性会社員の平均月収は34.20万円、年収は554.9万円。女性会社員の平均月収は25.89万円、年収は394.3万円。

 

一方、保育士(平均年齢38.8歳、平均勤続年数8.8年)の平均月収は26.08万円。賞与も含めた年収は391万3,700円です。男女別にみてみると、男性保育士の月収は27.00万円、年収は404.3万円、女性保育士の月収は26.02万円、年収は390.5万円。会社員平均と比べて男女間の給与差は非常に小さい一方で、年収は約100万円ほど低くなっています。

 

――小さな命を預かっている

 

そう表現される保育士の仕事。それにも関わらず薄給で、ダブルワークで安月給を補っているという保育士も珍しくないとか。

 

もちろん低賃金だけを解消すれば、保育士不足が解決するわけではないといいます。保育士の退職理由で給与・待遇面のほかによく聞かれるのが「人間関係」。保護者との関係のほか、閉ざされた職場環境で同僚との関係が一番のストレスという声も。

 

異次元の少子化対策。その多くは、子どもをもつ親やこれから子どもを持つだろう若年層に向かっていますが、保育士の人手不足が解消されない限り、すべては絵に書いた餅になりそうです。