子どもがなかなかハイハイしないと、お母さんお父さんは心配になりますよね。そこでこの記事では、小児理学療法士のこどもリハビリかめきちさんにハイハイについての基礎知識や、ハイハイしない原因、おすすめの練習法などについてお話を伺いました。
「うちの子、ハイハイしない」は危険な兆候!? 小児理学療法士が教える「ハイハイ」の基本 ※画像はイメージです/PIXTA

ハイハイの成長過程

ハイハイしないということを非常に心配される親御さんはたくさんいます。また、インターネットなどには、不安をあおるような情報もあります。しかし成長の個人差もあるので、ハイハイしないことに神経質になりすぎる必要はありません。そのことを前提にお話しいたします。

 

子どもの発達は、順番に進んでいきます。お母さんのお腹の中にいたところから、急に外の世界に順応しなければいけないので、ゆっくりと順々に成長していきます。まず目が見えるようになり、追視が始まります。目の動きに伴って首が動くようになり、首がすわってきます。寝返りを習得するとうつ伏せの姿勢がとれるようになり、うつぶせで遊べるようになってきます。その後おもちゃなどに向かって手を伸ばして前へ進もうとし、ずりばい・ハイハイへとつながります。

 

最初は、お腹を床につけたまま肘で体を支えて進む「ずりばい」ですが、そこからお腹を浮かせて効率的に進むハイハイの姿勢へと発達していきます。ハイハイを獲得するのは、だいたい生後8ヵ月から10ヵ月くらいの時期です。

 

ハイハイをするメリットとは?

ハイハイには大きく3つの要素があり、それぞれに基づいたメリットがあります。

 

ハイハイのメリット①:自分の体を支える基礎的な運動

ハイハイは、手のひらとひざ下で体を支え、お腹を床から浮かせながら前に進む移動手段です。そのため、ハイハイをして移動をすることで自分の体を自分で支えるという基礎的な力が備わります。

 

ハイハイのメリット②:リズミカルに重心を左右に移動させる練習

ハイハイは、左右の手足を交互にリズミカルに動かして、重心を移動させていく移動手段です。このハイハイのときに培った左右・交互の重心移動の経験が先々、伝い歩きや独り歩きに重要な体の使い方になります。

 

ハイハイのメリット③:原始反射から姿勢反射への切り替え

赤ちゃんには、自分の命を守るための「原始反射」が生まれながらに備わっています。ミルクやおっぱいを吸うための哺乳反射や、大きな物音にびくっとするモロー反射などがそうです。この原始反射は一定の時期に消失し、運動の経験を積むことによって「姿勢反射」に統合されていくといわれています。姿勢反射とは何かというと、つまずいたときに「おっと!」と転ばないよう足が出たり、転んだときに手をついたりする反射です。自分でバランスを取りながらハイハイをすることで、この姿勢反射が育っていくと考えられます。