出産後も仕事を続ける母親にとって、最大の関心事とも言えるのが保育園選びかもしれません。今回は2児の母であり、保育士歴13年のキャリアを持つはるさんにインタビュー。保育士と保護者の両方の視点から見た保育園選びについてお話を伺いました。
現役保育士が本音で教える…後悔しない「保活」の進め方 ※画像はイメージです/PIXTA

保育士が考える保育園選びのポイント

保育園の候補は、立地や保育時間などの条件である程度絞られてくると思います。その他にも施設の状態や園内設備、保育方針など検討ポイントはいくつもありますが、それらはご家庭の考え方によって本当にさまざま。そこで実際に保育士として働いている立場から、保育園選びにおいてぜひ考慮していただきたいポイントをご紹介します。

 

ポイント①:保育士の人数

それは保育士の人数です。保育士の配置人数には基準があり、自治体によって多少の差はありますが、

 

・0歳児:3人に対して保育士1人

・1、2歳児:6人に対して保育士1人

・3歳児:20人に対して保育士1人

・4、5歳児:30人に対して保育士1人

 

この人数のまま配置されているよりは、ある程度人数にゆとりがあった方が、丁寧な保育もできると思いますので参考にしてみてください。

 

ポイント②:保育士の年齢層

また、幅広い年齢層の保育士さんが揃っている園もおすすめです。若い保育士も子育て経験のあるベテラン保育士もどちらも揃っていて長く働き続けられる園というのは、子どもにとっても良い園といえると思います。

 

2018年に保育所保育指針が改定され、それまでの大人主導の一斉保育から子ども一人ひとりの主体性を尊重する保育にシフトしてきています。たとえばあるクラスが散歩に出かけるとします。これまでは全員を散歩へ連れ出していましたが、中には別のことをやりたい子もいるはずです。そのような子の意志を汲み取って対応するのが主体性保育ですが、これも保育士の人数的余裕がないとなかなか難しいのが現実です。

 

保育園見学でチェックしておきたいこと

候補の保育園をピックアップしたら実際に見学に行ってみましょう。ここでは見学の際に施設面で見ておいた方がいいポイントをいくつか紹介します。

 

チェックポイント①:チラシや掲示物が整えられているか

まず目につくのが施設の印象ですが、個人的には新しいかどうかよりもきちんと整えられているかどうかを見ておくといいと思います。たとえば、期日が過ぎたチラシが置きっぱなしだったり、掲示物が先月ものがそのままだったり、という園は保育士に余裕がない可能性があります。

 

チェックポイント②:おもちゃの配置

子どもの手の届く位置におもちゃがあって好きな遊びができるかどうかは、子どもの主体性を尊重しているかどうかにつながります。

 

チェックポイント③:子どもの制作物

また、掲示されている子どもの制作物からも保育園の方針が分かります。みんなが同じような絵を描いているのか、一人ひとりの個性が発揮されているかも見てみるといいかもしれません。

 

チェックポイント④:園庭の利用頻度

そして多くの親御さんが園選びの優先順位の上位にあげる園庭について。園庭の有無や広さだけではなく、実際にどのくらい園庭で遊んでいるのか、どのように利用しているのかも確認してみることをおすすめします。中には0、1歳児は使用不可だったり、逆に0歳児が遊んでいる隣で5歳児が鬼ごっこをしていたりなど、危険な使い方をしているケースも。園庭が気になる親御さんは、ぜひ細かく質問をしてみてくださいね。

 

見学では子どもたちが遊んでいる様子も

もう一つ見学の際に確認してほしいのが、子どもたちの遊び方についてです。園庭がなかったり狭かったりした場合、外遊びはどうしているのか気になりますよね。頻繁に散歩に出かけたり、近所の公園などで代用したりという場合もあるので、質問をしてみてください。

 

園庭も大事ですが個人的には、雨の日や夏の猛暑日など、外に出られない日の遊び方についても確認しておくといいと思っています。ホールがあるなど、保育室以外にもちょっとした遊べるスペースがあると遊びの選択肢が増えてきます。雨の日の見学は億劫になりがちですが、室内活動の様子が見られるチャンスですので、ぜひ見学に行ってみてください。

 

また保育園の見学以外でも、お散歩中や公園で遊んでいる様子を見てみると、色々な気づきがあると思います。見学の時よりも保育士の”素”の姿が見られる場合も(笑)。保育園見学であれ、公園遊びの時であれ、何より重視していただきたいのが、子どもがありのままの感情を出せているかどうかです。癇癪を起こしていても騒いでいてもいいので、子どもらしく笑ったり泣いたりできているかどうかもぜひご覧になってみてください。