デフレは、資本主義の死
貨幣の不足によって経済全体が貧しくなる不健全な経済状態とは、デフレ(デフレーション)のことです。
デフレとは、一般的には、一定期間にわたって、物価が持続的に下落する現象のことを言います。その反対に、物価が持続的に上昇する現象は、インフレ(インフレーション)と呼ばれます。
デフレは、どうして起きるのでしょうか。それは、経済全体の需要(消費と投資)が、供給に比べて少ない状態が続くからです。「需要不足/供給過剰」が、デフレを引き起こします。
デフレとは、需要が不足すること、つまりモノが売れない状態です。
モノが売れない状態が続けば、どうなるか。
企業は赤字が続き、最悪の場合は倒産してしまうでしょう。労働者は賃金が下がり、最悪の場合は失業してしまうでしょう。
企業は赤字が続いたり、倒産したりすれば、「投資」をしなくなります。労働者は賃金が下がったり、収入がなくなったりすれば、「消費」をしなくなります。
投資と消費とは「需要」です。デフレで企業が苦しくなり、労働者が貧しくなれば、需要はさらに縮小し、デフレは続きます。
このデフレの悪循環について、別の言い方をすると、次のようになります。
デフレとは、物価が継続的に下落することですから、裏を返すと、貨幣の価値が継続的に上昇するということです。
デフレとは、貨幣の価値が上がっていく現象なのです。
さて、貨幣の価値が上がっていくならば、人々は、モノよりもカネを欲しがるようになるでしょう。つまり、支出よりも貯蓄を選ぶということです。
また、大金持ちはともかく、普通の消費者は、住宅や自動車のような大型の消費をする場合には、ローンを組むでしょう。
企業もまた、大型の投資をするにあたっては、銀行から借入れをします。
しかし、デフレで貨幣価値が上がっていく中で、債務を負うと、どうなるでしょうか。貨幣価値が上がるということは、借金は、借りた時よりも返す時のほうが実質的に膨(ふく)らんでいるということになります。
このため、デフレになると、誰も銀行から融資を受けなくなります。その反対に、債務が膨らむのを恐れて、返済を急ぐようになります。