税金が余分にたくさん取られ、最悪は刑務所へ
申告漏れや課税逃れの場合、追加で重い税負担が発生するうえ、悪性が強い場合には刑罰も科されます。
まず、申告漏れがあった場合、不足分の税額を納税しなければならないのはもちろん、それに加えペナルティとして「延滞税」と「加算税」を課されることになっています。
延滞税は利息のようなものです。これに対し、申告漏れの「加算税」は主に以下の3つであり、態様の悪質性によって税率の重さが異なります。
【3つの加算税(重い順)】
1. 重加算税
2. 無申告加算税
3. 過少申告加算税
なお、厳密には加算税には「不納付加算税」というのもありますが、これは源泉徴収が前提であり、上の3つとはやや性質が異なりますので、割愛します。
さらに、特に悪質な場合は刑事罰も科されます。「10年以下の懲役」「1,000万円の罰金」のいずれかまたは両方です(所得税法238条)。
以下、延滞税と3種類の加算税について解説します。
延滞税
延滞税は不足税額にかかる利息のようなものです(国税通則法60条)。2022年分と2023年分の延滞税の税率は以下の通りです。
【延滞税の税率(2022年分と2023年分)】
・納期限後2ヵ月以内:年2.4%
・納期限後2ヵ月超:年8.7%
今回のインフルエンサーの事件においては、申告漏れが複数年にわたっていたということですので、これだけでも大きな負担になります。
3つの加算税
次に、3種類の「加算税」について、最も厳しい「重加算税」から解説します。
◆重加算税
重加算税は、悪質な場合、すなわち「隠ぺい」または「仮装」をした結果として納税申告しなかった場合、あるいは過少申告した場合に課税されるものです(国税通則法68条)。
「隠ぺい」「仮装」がなかった場合には後述の「無申告加算税」または「過少申告加算税」の対象となります。
重加算税の税率は以下の通りです。これは加算税のなかで最も重いものです。
【重加算税の税率】
・無申告の場合:40%
・過少申告の場合:35%
今回のインフルエンサーの事件では、申告漏れの額が総額約3億円、追徴税額が総額約8,500万円とのことですので、重加算税の占める比率が相当高かったことが推察されます。