ハラスメントに長時間労働……会社員を震え上がらせる「ブラック企業」。なかには「ん、うちの会社、ブラック企業なのでは……」と入社して、しばらくして気づくケースも。“ブラック”の疑いのある企業の特徴を、給与面からみていきましょう。
平均月収39万円だが「う、うそだろ…」30代サラリーマン、明細をみて驚いた「ブラック企業」の少なすぎる給与額 (※写真はイメージです/PIXTA)

給与は同じでも「基本給が少なすぎる」の思惑

パワハラや長時間労働、給与面では残業代未払いなど、法律的な問題を抱えている、これは明らかにブラック企業。ただ給与面で「……んっ?」という企業は意外に多く、そこに勤める従業員は「うち、ブラックだから」と自虐的に話すことも多いようです。

 

ただ知らず知らずに、そんなブラック要素たっぷりの会社で働いているケースもあるので、注意が必要です。

 

――給与明細をみたら、基本給10万円

 

前出の男性は給与明細に記された基本給に驚いたと呟いています。この「基本給が驚くほど安い」というのは、ブラック要素の強い企業にありがちだと、専門家はいいます。

 

――総額が変わらないのなら、基本給が低くても問題ないのでは

 

そう考えがちですが、基本給が低いことで損をするのは従業員だということを覚えておきましょう。よく企業の募集要項に「賞与:基本給の3ヵ月分」などと記されているのをみたことがないでしょうか。基本給を低くしておけば、たとえばこんな言い方もできます。

 

「昨年の賞与実績、基本給の6ヵ月分」

 

「何と半年分の給与が賞与として払われるんだ!」と勘違いしてはいけません。あくまでも基本給の6ヵ月分であり、前出の男性の場合であれば、賞与は60万円ということになります。大卒サラリーマンでは平均年136万円程度の賞与を手にしていますから、平均値の半分以下、ということ。正しい情報ではありますが、勘違い続出の表記だといえます。

 

基本給をベースにするものは他にも、残業代や休日手当、深夜手当、退職金、昇給額などがあります。ブラック企業とは無縁な大手企業でも、基本給は低めに設定しているケースは多く、その目的は人件費の抑制にあります。

 

今回の賃上げで「給与を30%引き上げます」などと報じられていても、重要なのは給与のどの部分が引き上げようとしているのか。結局は数字のマジックで、年収としてはなんら変わらない、ということも十分に考えられます。

 

本当に従業員のことを考えての給与引き上げなのか、それとも従業員のことは二の次の引き上げなのか。今回の賃上げで「実はうち、ブラックだった……」ということも分かるかもしれません。