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元意識の高い入居者…孤独に耐える日々
入居するとすぐに友達が数人できました。生活レベルが水田さんと合っていて安心できました。水田さんはこれまで、持ち物やファッションにはとても気を遣ってきたので、正直、所帯じみた人が多いとストレスに感じると思っていたのです。日中は仲良くなった人たちのグループと近くの百貨店に買い物に行ったり、レストランでランチをしたりと、緊張しながらもわくわくする毎日でした。
ところが1ヵ月ほど経った頃から、水田さんは仲良しグループとの行動がつらくなってきました。親しくなってくると話題がプライベートに踏み込んでくるようになります。ほとんどの人が、この街で長く暮らしてきており、いわゆる地元の名士の家族でした。
旧家の出の人、市議会議員の奥様、大地主、大病院の名誉理事など、水田さんとは住む世界が違ったのです。これまでは比較的水田さんの話を聞いてくれることが多かったのですが、徐々に地元の話題が中心になっていきました。
「ごめんなさいね、地元の話で……」
部外者だということを意識させられる物言い。それは優しさからかもしれません。被害妄想かもしれません。それでも段々と億劫となり、水田さんは自室にこもりがちになったといいます。憧れの街に住むことを夢見て短絡的に決めてしまったと、自分を責める毎日。高額なお金を払って入居したホームですから簡単に退去はできません。見学会だけでなく、入居している人の雰囲気を第三者目線で教えてくれる人に相談していたら……後悔の日々だといいます。
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