相続手続きで委任状が必要なケースとは?
相続に関する手続きで委任状が必要となるのは、以下のケースです。
・相続税の申告
・不動産の所有権移転登記(相続)の申請
・戸籍謄本などの証明書の取得
・名寄せ台帳の取得
・遺言書の検認手続き
・相続放棄の申し立て
・預金口座の名義変更や引き出し
・残高証明書の発行
相続に関する手続きを代理人が行う場合、基本的には依頼人からの委任状が必要です。
未成年の特別代理人とは? 役割をご紹介
未成年の特別代理人とは、選任の際に家庭裁判所に指定された手続きに関して、未成年者のために特別に選任される代理人のことです。未成年者は法律行為に関して十分な判断能力が備わっていないとされ、単独での法律行為ができません。
通常であれば親権者などの法定代理人が代わって法律行為をするところ、法定代理人も同時に相続人となる場合などに関しては、特別代理人を立てて法律行為をする必要があります。
特別代理人は指定された手続き以外の代理行為ができず、手続きが完了すればそこで代理関係は終了です。
特別代理人の役割には、以下のようなものがあります。
・遺産分割協議への参加
・遺産分割協議書への署名および捺印
・不動産の所有権移転登記(相続)の申請
・預金口座の解約、預金の払い戻し
・相続放棄の申述
特別代理人になるための資格は特に必要なく、未成年者と利益相反行為にならない人であれば申し立ては可能です。
ただし、あくまでも選任するのは家庭裁判所であり、適任ではないと判断された場合、その者は特別代理人になることはできません。
特別代理人には、弁護士や司法書士などの専門家が就任することも可能です。
「特別代理人」が必要なケースとそうでないケースを解説
相続人の中に未成年者がいれば、どのような場合でも特別代理人が必要になるというわけではありません。特別代理人が必要なケースと不要なケースをそれぞれ紹介します。
特別代理人が必要なケース
遺産相続において、特別代理人が必要となる主なケースは、以下の2つです。
・未成年者とその親権者が同時に相続人となる場合
・認知症の人とその成年後見人が同時に相続人となる場合
以上のケースでは、特別代理人を選任しなければ遺産分割協議ができません。しかし、特別代理人が選任されれば、未成年者が幼児である場合や認知症が重度である場合でも通常通り遺産分割協議を進められます。
特別代理人が不要なケース
一方、特別代理人が不要なケースは以下です。
・法定相続分どおりに相続する場合
・遺言書で相続分が指定されており、それに従って相続する場合
・親権者が相続人でない場合
・親権者が子より先、または子と同時に相続放棄をした場合
以上のケースでは、特別代理人が不要です。利益相反が生じず、親権者が法定代理人として未成年者に代わって法律行為ができるためです。
相続手続きにおける代理人選びで困ったら専門家へ
相続手続きが代理人に依頼できることや、未成年の特別代理人について解説しました。記事の中でも述べたように、相続手続きの代理人は、ケースに合わせて選ぶ必要があります。
トラブルの可能性がある場合は弁護士、そうでなければ司法書士、気軽に相談をしたいという場合は行政書士がおすすめです。また、相続税のことが気になる場合は、税理士に相談するのがよいでしょう。
相続は多くの人にとって身近な問題ですが、その手続きは慣れていない人にとって複雑で労力も時間も要します。
すんなり法定相続分どおりに相続する場合であればよいですが、そうでない場合やトラブルが生じた場合などは特に厄介な問題として当事者にのし掛かります。自力で頑張ろうとせず、専門家に依頼することも検討してみてください。