適格請求書等保存方式(インボイス制度)とは?
個人事業主の伊佐川さん。これまでは
納めるべき消費税は
売上 1,000万円 ×10%=100万円
経費 500万円 ×10%=50万円
100万円-50万円=納めるべき消費税は50万円
ところが、インボイス制度が始まり、仕入先がインボイス番号を持っていないと、「仕入税額控除」ができなくなるため、結果、100万円の消費税を納めないといけないことになります。つまり、インボイス番号のない仕入先の消費税を負担するという意味です。
だから伊佐川さんも仕入先の領収書や「請求書」にインボイス番号の記載を義務付けるわけです。
[平岡さん]
じゃあ、みんなインボイス番号を取得したらええやん……と思うけど、そう単純じゃないのか。
[ヒロ税理士]
番号の取得手続き自体は国税庁のサイトで簡単にできますが、ポイントとなるのは、インボイス番号を取得できるのは、「消費税課税事業者」であることなんです。
[平岡さん]
なるほど。さきほど、「個人事業主も法人も、最初の1期は消費税免税事業者、2期目も条件はあるけれど消費税免税」とあったけど、これだと取得できないんや……。
[ヒロ税理士]
そう! 「消費税免税事業者」でも、事前申請をすることによって「消費税課税事業者」となれるけど、免税という“特典”を手放すことになる。しかし、インボイス番号を持たない「消費税免税事業者」は取引から排除される可能性が高いため、「消費税課税事業者」にならなければならない。
もちろん、絶対そうなるわけじゃない。仕入先の貢献度や能力、今までの人間関係を考えて、ひょっとしたら伊佐川さんは相手がインボイスを持たなくとも、消費税分を支払ってあげるかもしれない。そこは双方の合意があればどちらでも良いのだ。
とはいえ、いきなり2023年からスタートすると、特に小規模な免税事業者にとっては死活問題となりかねないので、一応下記のような経過措置を設けています。仕入先がもしインボイス番号を取得していなかったとしても、一部は仕入税額控除ができる形です。
小規模クリエイター・フリーランスへの救済措置
【当初6年間の経過措置】
取引先が「消費税免税事業者」でも……
2023年10月1日~2026年9月30日 ➡ 80%控除可
2026年10月1日~2029年9月30日 ➡ 50%控除可
さらに平岡君もご存じの通り、令和5年度税制改正によって消費税の激変緩和措置が講じられる予定だ。課税売上1,000万円以下の事業者がインボイス番号を取得して免税事業者から課税事業者になった場合、当然ながら今まで納める必要のなかった消費税の負担が増えて、確実に手取り収入は減少する。
この急激な負担増が大きすぎるので、3年間は預かった消費税の20%だけ納めればOK、という措置だ。これ、小規模なクリエイターやフリーランス等の人にはとても助かるね!