世界一わかりやすい〈インボイス制度〉の解説
[平岡さん]
2022年夏の参議院選挙でも争点のひとつとなった「インボイス制度」。導入は2023年10月の予定だから、起業する方にもすごく重要なことだと思うんだけど、世論調査でも「よくわからない」の声が多かったり、フリーランスの方から「死活問題」と反対の声が上がったりと、スムーズに始まるか不透明だね。
そんな世論を見て、自民・公明両党の税制調査会は「納税を免除されてきた売上高1,000万円以下の事業者がインボイスを発行する課税事業者になる場合、納税額を売上時に受け取る消費税の2割に抑える特例を3年間設ける」という方針を掲げたんだけど……。そもそもインボイスって? 納税を免除されてきたって? 課税事業者って? 先生、お願いします(笑)。
[ヒロ税理士]
インボイス制度開始が近づき、正直これまで5000万回くらい説明をしてきたけど(笑)、制度が複雑すぎて、残念ながらほとんどの人が理解できていない様子……。そこで〈世界一わかりやすい〉インボイス制度の解説を目指します。
まず、インボイス制度とは、ざっくり言うと消費税に関する大きなルール変更です。個人事業主、会社経営者だけでなく、会社員が行う副業もアルバイト等の雇用契約でなければすべて対象。売上規模や業種等も一切関係なく、全事業対象です。
まず、インボイス制度がスタートすると自社が発行する「適格請求書」(または「適格簡易請求書」、以下略)に「適格請求書発行事業者の登録番号」=インボイス番号の記載が必要となります。この「適格請求書」はざくっと言うと請求書を、そして「適格簡易請求書」は領収書を意味すると覚えておいてください。「適格請求書等」にインボイス番号がないと、受け取った側、つまり支払い側では消費税の計算上、経費を支払った証明にならない、これってどういうこと? を説明していきます。
適格請求書等保存方式(インボイス制度)とは?
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」および「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。
インボイス番号は、大文字のT+13桁の数字で構成されます。
個人事業主=全く新しい番号を付与
このインボイス番号は国税庁の「インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」にて、実際に取得された有効な番号かどうかの検索が可能となります。なお、氏名等からの逆検索はできないので、これが勤務先への副業バレにつながることはほぼないので、ご安心ください。
[ヒロ税理士]
さて、いよいよ本題に入っていきます。消費税の計算の仕組みは、ほかの所得税や法人税等と異なりちょっと複雑です。事業者が商品を販売・サービスを提供する場合は
➡国に納める
と、「儲け」となるわけじゃなく「預かっているだけ」です。
一方、事業者は、さまざまな経費を支払い、その経費の支払いの際にも、8%または10%の消費税を支払っています。これをさきほどの「預かった消費税」から差し引きすることができます。これを専門用語で「仕入税額控除」と言います。
これが、その支払領収書や請求書にインボイス番号の記載がないとできなくなるのです。