サラリーマン人生、退職金をもらい「早く上がりたい」
長引く景気低迷、不況。一方で、ビジネス環境はグローバル化の掛け声のもと、仕事内容は一層高度に、評価もますます厳しくなっていく…。そのような状況下、60歳を迎えれば、なんとか無事にサラリーマン人生にひと区切り。いざ、退職金を手に自由の身へ。自分はあと2年、いや、1年…。
そのように算段している、定年間近のサラリーマンの皆さんも多いのではないでしょうか。しかし、うまく乗り切れるとは限りません。長引くコロナ禍や不穏な世界情勢の影響で「会社が倒産」という悲劇的なシナリオも、可能性として考えられます。
会社員になって30余年。悔しいことも、納得できないこともいろいろあったけれど、退職金をもらえばサラリーマン人生の双六もようやく「上がり」へ。そんなタイミングの前で、万一会社が倒産してしまったら…。
いまなお「定年=60歳」の企業が多数
さて、企業に「定年制の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」(高年齢者雇用確保措置)のいずれかの措置を講じるよう義務付けている「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」。現在は経過処置期間として、2025年4月から65歳までの雇用確保が義務となります。
『令和4年 高年齢者雇用状況等報告』(厚生労働省)によると、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は中小企業、大企業ともに99.9%であり、ほぼすべての会社員は、勤務先で65歳まで働ける状況が整備されています。
65歳定年を定めている企業は、中小企業で22.8%、大企業で15.3%。70歳以上まで働ける制度のある企業は、中小企業で39.4%、大企業で35.1%。定年制そのものを廃止した企業は中小企業では4.2%、大企業では0.6%。
上記の数字からは、人材確保が大変な中小企業のほうが、高齢者雇用に積極的なことが見て取れます。もちろん就労者側も、年を重ねても働ける先があるというのは心強いでしょう。
とはいえ、長年サラリーマンとして走り続けてきた以上、小休止を取りたいところ。「定年」という区切りがあれば、以降の人生設計を考える時間も少しは持てそうです。
まずは「退職金をもらって、ひと息つきたい」という人は多いことでしょう。
大卒・生え抜き社員・60歳定年=退職金約2,000万円
サラリーマンの給与について、いま一度振り返ってみましょう。
入社以降、給与は年齢と共に上昇。50代後半で平均月収(所定内給与額)51万円とピークになります。年収では役職定年の影響から、50代前半の841万円と比べ10万円弱下がりますが、給与面はピークのまま定年を迎えます。
そして退職金の額ですが、日本経済団体連合会による『2021年9月度退職金・年金に関する実態調査』によれば、「管理・事務・技術労働者(総合職)」の大学卒・60歳定年(勤続年数38年)の退職金は2,243.3万円、高校卒(同42年)が1,953.0万円。
近年では転職する人も増えていますが、新卒から同じ企業に勤め続けた大卒会社員であれば、60歳の定年とともに、約2,000万円の退職金を受け取れることになります。
退職金を受け取る前に「会社が倒産」したら…!?
しかし、この不穏な状況下、会社員としてピークのまま、無事に2,000万円を受け取って「無事に上がり」となるとは限りません。会社倒産というリスクも、決して他人事とはいいきれないのです。
中小企業庁の発表では、2022年11月の中小企業の倒産件数は581件で、前年比115%。1月からの累計は5,822件で、前年比105%。国税庁の発表では、企業の10年生存率は6.3%程度。これから先も勤務先が存続しているとは、断言できない状況です。
定年退職金をもらう前に会社が倒産したら、どうなるのでしょうか。よもや「退職金ゼロ」となったら、目も当てられません。
しかし、万一の事態でも「退職金を受け取る権利」は残ります。会社の破産手続きが始まれば、破産管財人となる弁護士が会社の債務や資産を整理し、未払いの給与や退職金が従業員に分配されるからです。
とはいえ、退職金の原資となる資産がなければ、どうしようもありません。いくら退職金を支払いたくても、支払うお金がなければそれはムリというもの。債権回収で資産が増えるなどすれば、まだ可能性もありますが、資産ナシ、債券ナシ、倒産…となれば、退職金は諦めるしかありません。
ただ、会社が「中小企業退職金共済制度」を利用していれば、会社の倒産時に退職金を受け取ることができます。中小企業退職金共済制度とは、事業主が掛け金を納付することで、従業員の退職金が勤労者退職金共済機構から支払われる制度。まずはこの利用を確認しましょう。
また、会社の代わりに労働基準監督署や独立行政法人労働者健康安全機構が退職金を立替する「未払賃金立替払制度」を活用するという方法もあります。すべての従業員が制度を利用できるわけではないため、利用条件等を確認してみましょう。
しかし、上記は従業員個人で対処できるものではありません。もし、会社が倒産して退職金がもらえないという場合は、まず専門家に相談することが重要です。
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