「45歳・副業収入300万円」のシミュレーション
たとえば、45歳の独身サラリーマンで、給与収入(総支給額)が1,200万円、副業の収入が300万円(事業所得扱い)・所得が200万円というケースで試算してみましょう。
なお、設立した会社からは給与は受け取らないものとします。また、所得税は国税庁HPの速算表を使用し、住民税は税率10%とし、1,000円単位を四捨五入します)。
◆副業について所得税(事業所得)の申告をした場合
サラリーマンとしての給与1,200万円については、給与所得控除195万円を受けられる結果、給与所得の額が1,005万円となります。これに副業の所得200万円を加えると1,205万円となります。
さらに、基礎控除48万円、社会保険料控除142万円が受けられるので、課税所得は1,015万円ということになります。
これにかかる所得税は181万円、住民税は102万円なので、税金の額は総額283万円です。
◆副業を法人化して申告した場合
個人所得はサラリーマンとしての給与所得のみです。給与所得控除の結果、上記の例と同様、給与所得の額は1,005万円となります。ここから基礎控除48万円、社会保険料控除142万円を差し引くと、課税所得は815万円です。
これにかかる所得税は126万円、住民税は82万円なので、税金の額は総額208万円です。
次に、法人所得の200万円については、課税所得400万円以下については法人実効税率が約21%なので、法人税額は42万円です。
したがって、所得税と法人税の合計は253万円となり、税金の額は、副業を法人化しない場合と比べて30万円安くなります。
10年続ければ、税負担を300万円抑えることができるということです。
なお、副業を法人化した場合、会社の所得は税金を支払ったあと会社の「内部留保」としてプールされていくことになります。これは、最終的に「退職金」として受け取るケースが多いと想定されます。個人が退職金を受け取った場合、退職所得として「退職所得控除」を受けられ、しかも、「2分の1課税」の対象となるので、税負担が大きく抑えられることになります。
また、「経営セーフティ共済」やごく一部の「法人保険」を利用すれば、法人の税負担を抑えながら退職金等の資金を効率よく積み立てられる可能性があります。
さらに、上記の例は独身ですが、たとえば扶養の配偶者がいる場合は、給与を支払うことにより所得を分散でき、かつ、会社の損金に算入できるので、その意味でも税負担が抑えられます。
しかも、前述の通り、法人は個人と比べ必要経費として計上できる費目が多くなっています。
以上の試算はあくまでも税負担に着目したにすぎません。初年度は法人設立のための費用がかかります。また、法人に利益が発生しない年度でも、「法人住民税」は必ず支払わなければなりません。
しかし、事業をある程度長く続ける意思があり、かつ、コンスタントに売上が上がっていく見通しがあるのであれば、副業を法人化することにより大きなメリットを得られる可能性が高いといえます。
税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは
【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討
【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成
【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える