(※画像はイメージです/PIXTA)

財務省は本日(2023年2月7日)、2022年10月~12月の為替介入の実績の詳報を公開しました。これによって、かねてから推測された通り、10月21日に5兆6,202億円、24日に7,296億円の「覆面介入」を行ったことがはっきりしました。本記事では、為替介入のしくみと効果を検証し、そこから透けて見える問題点について解説します。

為替介入は現実逃避に等しかった…

為替介入は、一歩間違えば、相場操縦と同じ効果をもたらす可能性があります。たとえていえば、国がFXをやるのと同じになりかねないということです(なお、一部に、為替介入による「為替差益」が出たことを歓迎すべきことととらえる論調がありましたが、論外です。)。

 

しかも、為替相場の変動の原因によっては、投入した額に見合った効果が得られない可能性があります。

 

鈴木俊一財務大臣は2022年10月24日、「投機によって過度に変動することは断じて容認できない」と述べました。円高の主な原因を「投機」ととらえていたということです。

 

しかし、これは、上述したように為替介入の効果がごく限定的だったこと、その後の為替相場の動きがもっぱらアメリカの国内事情の影響を受けたものであることを考慮すれば、明らかな誤りです。

 

どういうことかというと、当時、円安ドル高が進行していた要因は、アメリカと日本の金利差と、日本の国力の相対的な低下にあります。

 

周知の通り、日本においては、長年にわたり「マイナス金利政策」が継続されてきました。

 

これに対し、アメリカにおいては、新型コロナウイルス禍の下で2020年から金融緩和を行ったことにより急激に景気が回復し、急激なインフレが発生したため、インフレ退治のため「利上げ」が相次いで行われてきているのです。

 

しかも、日本は今やGDPが中国に抜かれ世界3位になり、2023年にはドイツにも抜かれると予測されています。国力の低下傾向は明らかであり、それに伴い、円に対する国際的な信用も低下していることは覆い難い事実です。

 

すなわち、「円安ドル高」は基本的に経済原理にしたがった動きであり、小手先の「相場操縦もどき」の、しかも日本単独での為替介入に顕著な効果が見込めないことは、最初から予測可能であったといえます。

 

そうであるにもかかわらず、「円安ドル高」の原因をあくまでも「投機」のせいにし、為替介入を強行したということです。

 

そもそも、本来ならば一時的な金融政策ととらえるべき「マイナス金利政策」が10年間にわたって継続していること自体、円安を誘発することが当然といえます。しかも、日本の国力の衰えを端的に示すものともいわざるを得ません。

 

「金は天下の回りもの」という格言があります。必要なのは、現実逃避に等しい為替介入ではなく、円安ドル高の根本原因がどこにあるのかを直視して、それを克服するための政策を立案し、実行することです。そのためにも、長期的・大局的な視点が欠かせません。

 

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