(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもに金融教育を行う上で、「銀行」は外せない知識です。アメリカでロング&ベストセラーになっている「お金の入門書」、ディリン・レドリング氏/アリソン・トム氏による共著『父と母がわが子に贈るお金の話 人生でもっとも大切な貯める力、増やす力』(小野寺貴子訳、SBクリエイティブ)より一部を抜粋し、銀行の必要性や預金のメリットなどを見ていきましょう。

「銀行などで借金すること=悪」とは限らない

「借金」という言葉を辞書で引いてみると、「お金を借りること、あるいは借りたお金のこと」と書いてある。借金は通常、銀行や金融機関からの融資を受けるとできるものだね。なぜ銀行は人にお金を貸したがるのだろう? それは、貸したお金に対して、利子を付けることができるから。

 

例えば、メアリーが中古車を5000ドル(65万円)で買いたいと考えている。銀行がその金額を10%の金利(利子が付く割合)で貸すとしよう。「利子」とは、借金を少しずつ時間をかけて返す代わりに支払う追加料金のこと。つまり、1年後にメアリーは、借りたお金に加えて500ドル(6万5000円)の利子(5000ドルの10%)を銀行に借りていることになり、返済する総額は5500ドル(71万5000円)になる。メアリーが借金を返すのに時間をかければかけるほど、銀行に支払うべき利子は増えていくんだ。

 

「借金」というと、何か悪いことのように聞こえるかもしれないけれど、借金には「良い借金」と「悪い借金」があるよ。良い借金とは価値が上がるものに投資するためにお金を借りること。例えば、教育ローン、住宅ローン、ビジネスローンなどがこれに当たるんだ。悪い借金とは、一般的に、価値の上がらないものを買うために、高い金利でお金を借りることを指す。高い金利の自動車ローンやクレジットカードで借金をすることは、悪い借金といえるんだ。

銀行はなぜ必要?わざわざお金を預けるメリットとは

100万ドル(1億3000万円)の現金が手に入ったとしよう。きみはそれを家のどこに置くだろうか? ベッドの下? クローゼットの中? 靴箱の中? おせっかいなお姉ちゃんが見つけるかもしれないし、盗まれてしまうかもしれないと心配になるだろう? 飼い犬に嗅ぎ当てられて、よだれだらけにされちゃうかも。少しずつに分けていろいろな場所に隠すこともできるかもしれないけど、そんなことをしたら、隠した場所を忘れてしまうかもしれない。

 

これこそが、銀行というものがあり、お金を預けるシステムができた理由なんだ。銀行はすぐには使わない現金を安全に保管する場所を提供し、さらに預けたお金に利子を付けてくれる(利子の仕組みについては前項で説明したよ)! きみの住む町の銀行では、普通預金口座にお金を預けたり、譲渡性預金(CD)を購入したりできる。譲渡性預金(CD)は金利が高いから、利息を多くもらえるけれど、銀行に長期間お金を預けておく必要があるんだ。

 

でも、日本では譲渡性預金(CD)はあまり一般的ではないよ。日本でその代わりとなる存在は、定期預金だ。

 

定期預金っていうのは、1年や2年などあらかじめ期間を指定して銀行などに預け入れる預金のこと。満期が来るまでは基本的には引き出せない代わりに、普通預金より金利が高いのが特徴だよ。本連載で、これから「譲渡性預金(CD)」と出てきたときには、「日本では定期預金のことだな」って読み替えてね。

 

銀行に預けているお金が本当に安全かどうか心配だって? もし銀行強盗があって、全部盗まれてしまったら? あるいは、火事で銀行が燃えてしまったら? でも大丈夫。アメリカでは連邦預金保険公社(FDIC)というところが、25万ドル(3250万円)までの預金を保証している。FDICは、安全な銀行の業務を通じて金融システムを安定させる目的で1933年に設立された。だから、もしきみが自分のお金を完全に守りたいなら、100万ドル(1億3000万円)を25万ドル(3250万円)ずつ、4つの銀行に分けて預ければいい。

 

日本には、連邦預金保険公社(FDIC)があるかって? 安心して。日本にも似た制度がある。それが、預金保険制度という仕組みだよ。万が一、銀行などの金融機関が破たんしても、利息の付く普通預金や定期預金などについては、1金融機関につき預金者1人当たり「元本1000万円までと利息」が保護されるんだ。また、当座預金など利息の付かない預金の場合は全額が保護されるよ。

お金を預けるだけで「増える」のはなぜ?

では、銀行は預かったきみのお金をどうするのか? それはね、家や車など、高い買い物をするほかのお客さんに貸すんだ。このような利子を付けて返さなければならないお金のことを貸付金(ローン)と呼ぶ。アメリカの銀行は現金預金の10%をすぐに使えるようにしておくことが義務付けられている。この決まりを支払準備制度というよ。銀行は残りの90%を、預金よりも高い金利で貸し出して利益を得ているんだ。

 

日本にも、「準備預金制度」という似たような制度があるよ。各銀行が預金の一定比率以上を日本銀行に預け入れる制度のことで、比率は日本銀行が決めているんだ。

 

このような流れが、経済をより効率的に回しているのさ。人々はクレジットカードを使うことで、日用品を簡単に買うことができる。クレジットカードを使えば、今買ったものの料金を後で支払うことができるんだ。家を買ったり、大学の学費を払ったりするような大きな出費をするときは、銀行ローンを使うことができる。ほとんどの人は、こうした大きな買い物のために、住宅ローン(家を買うための貸付金)や何らかのクレジット(お金を借りる能力)を利用しているんだ。

銀行以外にも「お金を保管する場所」はある

銀行のほかにお金を預けられる場所はどんなところがあるだろう? 従来の銀行のほかに、インターネット銀行、信用組合、証券会社などにも預けることができるよ。

 

【インターネット銀行】は、従来の銀行と同じ商品やサービスを提供しているが、店舗を持っていない。出入金やカスタマーサービスの問い合わせはすべてオンラインでおこなわれるよ。

 

【信用組合】は、教師や軍人のような特定の職種の人たちのための銀行。信用組合は一般の銀行よりも金利は高いけれど、物理的な店舗は銀行よりも少ないんだ。

 

ちなみに日本の信用組合は、その地域に住んでいたり、その地域の中小企業で働いていたりする人たちのための金融機関だよ。もう1つ、信用金庫という金融機関もあるけれど、こちらもやはり地域密着型だ。金利については、一部の信用金庫では定期預金の金利が一般の銀行より高いこともある。

 

【証券会社】では、株式、債券、ミューチュアル・ファンド(日本では、あまり馴染みのない言葉かもしれないね。日本語では「オープンエンド型投資信託」。アメリカでは会社型、日本では契約型と設立形態に少し違いはあるけれど、あまり気にしなくて大丈夫)。上場投資信託(ETF)といった金融商品の売買をすることができるよ。

 

もしきみが銀行口座を持っていないなら、おうちの人が利用している銀行できみ専用の口座を開設してもらえないか相談してみてね。

 

 

ディリン・レドリング/アリソン・トム

 

カリフォルニア州オークランド在住の夫婦。イーベイなどのインターネット企業で働きながら資産形成に励み、2015年に40代前半にして早期リタイアを実現。2016年に「RetireBy45.com」というサイトを立ち上げ、FIREをめざす人たちにアドバイスや情報提供を行っている。著者らは『フォーブス』誌や、「ビジネスインサイダー」、「ヤフーファイナンス」などでも紹介されている。その他の共著に『Start Your F.I.R.E. (Financial Independence Retire Early): A Modern Guide to Early Retirement(FIREの始め方――早期リタイア入門)』(未邦訳)がある。

※本連載は、ディリン・レドリング氏/アリソン・トム氏の共著『父と母がわが子に贈るお金の話 人生でもっとも大切な貯める力、増やす力』(小野寺貴子訳、SBクリエイティブ)より一部を抜粋・再編集したものです。

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