HSCという特性を持つ子どもがいることをご存知でしょうか? 生まれつき敏感な感覚を持ち、人よりも感受性が鋭すぎることで、時には生きにくさを感じる場合も。今回は自身もHSP(HSCの大人版)を公表されている臨床心理士のいけやさきさんにインタビュー。HSCの特徴や困りごと、周囲の上手な向き合い方などについて自身の体験を交えてお話ししていただきました。
人一倍敏感な子ども「HSC」…特徴と周囲との上手な向き合い方【臨床心理士の監修】 ※画像はイメージです/PIXTA

周囲の上手な向き合い方や注意点

HSCのお子さんは、その特性を知らない人からすると「内気な子」「泣き虫な子」という印象で片づけられてしまいがち。そうならないためにも、まずは周囲の人にHSCの正しい知識を身につけてもらえればと思います。

 

その上で目の前のお子さんの思考や好みをしっかりと理解してあげて、苦手にしていることを無理にさせない、できている子と比べないことが大切です。「みんなやっているから、あなたも頑張って」という声かけは、HSCの子には逆効果。そしてどんな結果であれ、努力した過程もしっかり褒めてあげてくださいね。

 

HSCの子の多くは、色々なことを理解した上で「今は言わない方がいいのではないか」「これを言ったら迷惑をかけるのではないか」と考えます。ですから気を遣うことなく話ができるようにしてあげましょう。そして無理をしすぎているようであれば、大人が声かけをして休息を取らせてあげるのも大切です。

 

たとえば、何となく登園・登校を渋っている場合は、思い切ってお休みするのもいいかもしれません。無理をさせると、休むことはいけないことなんだという思考が染みついてしまい、それ以降体調が悪くても言い出せなくなる可能性があるからです。

目の前のお子さんに合わせた環境作りを

HSCは周囲に分かりにくい特性でもあります。大人から見て「しっかりしているな」という子が、意外にもHSCだったというケースはよくあることです。よく言えば大人っぽく、裏を返せば子どもらしさが人より早く失われてしまうということ。ですからHSCのお子さんをお持ちのパパママは、しっかりと甘えさせてあげる時間を作れるといいかもしれませんね。

 

そして繰り返すようですが、目の前のお子さんが何を感じているかをしっかりと見つめて、必要な環境を整えてもらえればと思います。HSCの特性は大人になれば和らいだり楽になるものではなく、大人になってもやはり困りごとは続きます。自分なりの対処法を見つけながら、生きやすい環境を整えていくという点ではHSCも発達障害も同じ。お子さんの場合は、その環境を周囲の大人が用意してあげてほしいと思います。

 

またHSCは全員ではないですが、遺伝も関係するという見方もあるため、ご両親のどちらかが同じ特性を持つケースもあるかもしれません。お子さん同様に無理をせず、休息をしっかりとっていただけたらいいですね。

 

【話を伺ったのは】

いけやさき/臨床心理士/公認心理師

臨床心理士、公認心理師。心理系大学院卒業後、精神科病院勤務を経て、クリニック、療育施設などの心理職として勤務。現在は「半分フリーランス」として独立し、女性専門のカウンセラー兼webライターとして、臨床心理学をベースにした個別相談やセミナーを行なっている。