(※画像はイメージです/PIXTA)

政府が2022年12月に発表した「2023年度税制改正大綱」において、投資の運用益が非課税となる「NISA」の制度が拡充されることになりました。しかし、投資には先立つ「お金」が必要です。特に、いわゆる「就職氷河期世代」の非正規雇用で働く人々は厳しい状況におかれています。NISA拡充の陰でどのようなことが起きているのか、解説します。

就職氷河期世代にとっては過酷な制度

しかし、いかにNISAの制度が拡充されても、投資は先立つもの、つまり余剰資金がなければそもそもできません。

 

特に、就職氷河期世代で非正規雇用で働く人々にとっては、厳しい制度といわざるをえません。

 

厚生労働省の「令和3年(2021年)賃金構造基本統計調査」によれば、非正規で働く人々の平均年収は「40歳~44歳」で21万円、「45歳~49歳」で20.9万円、「50歳~54歳」で21.2万円、「55歳~59歳」で21.0万円となっています。

 

これは、「手取り」に引き直すと月16万円程度です。どこに住むかにもよりますが、いずれにしても、月16万円といえば、家賃、食費、水光熱費、日用品費等を差し引くと、残った額は限られています。

 

特に、昨今の物価高にあってはなおさらです。

 

なけなしの額は大半を「いざというとき」のためにとっておかざるを得ません。上述のように、新しいNISAの制度は、現行の「つみたてNISA」と同じ「長期・分散・積立」を基調とするものであり、まとまった額を投資に回すことは至難の業です。

 

就職氷河期世代に属する人々は、それ以前の世代より厳しい状況の下にあるにもかかわらず「自己責任」「自助努力」を過剰に求められてきた世代といえます。

 

特に、就業機会やスキルを身につける機会に恵まれなかった人は収入増加が難しいうえ、近年、たびかさなる増税、物価上昇に見舞われています。そこに対し、政府による有効な救済措置がなされていません。

 

自助努力にも限度というものがあります。

 

NISAの拡充は歓迎すべきことです。しかし、その半面、これまで公的年金等の社会保障制度が担っていた役割の一部を国民の自助努力に委ねるという政府の意図が見てとれます。

 

また、投資を行うには一定のリテラシーが必要ですが、現状、老若男女問わず、そもそも十分な投資教育を受ける機会が保障されているとはいえない状況です。

 

そんななか、NISAの拡充が社会保障に関する国家の責任の放棄や軽視につながらないよう、私たちは、注意を怠らず見守っていく必要があります。

 

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