導入事例|役員報酬の節税対策のために導入した医療法人
医療法人Aは、理事長が開業してから12年がたちます。順調に業績を伸ばし、当初あった借入金も全て返済し、法人内に内部留保が積み上がっていく状態になっています。それに伴って、理事長は役員報酬を増やしていましたが、気づくと税率がとても高くなってしまっていたそうです。理事長からこんな悩みを打ち明けられました。
「所得税は最高税率の45%で、さらに10%の住民税がかかり、社会保険がかかりと、役員報酬の半分以上が税金関係に消えてしまっていました。何とかならないものか……」
企業型確定拠出年金は、法人から個人に掛け金を払い出していく際、一切税金や社会保険料はかかりません。理事長の役員報酬は、月々400万円に設定されていました。そこからさらに役員報酬を増やしていく前に、企業型確定拠出年金を活用するご提案をしました。
企業型確定拠出年金であれば毎月5万5,000円、年間66万円を役員報酬以外の部分として、法人から個人に払い出していくことができます。
役員報酬を405万5,000円にするよりも、役員報酬を400万円のままにして、企業型確定拠出年金の掛け金を5万5,000円にしたほうが、所得税、住民税を考えると、約36万円程度お得になることがわかりました。
理事長は現在53歳。65歳での引退を考えられていたことから、仮にそこまで企業型確定拠出年金を続けたとすると、あと12年間その税効果を得ることができます。
約36万円×12年間=約432万円です。
また、確定拠出年金においては運用益が非課税になります。仮に5万5,000円を12年間、5%で運用できたとすると、792万円の投資元本が、約1,082万円となります。運用益が約290万円で、本来ならばそこに対して約20%の税金がかかるので、約58万円は税金です。そこも非課税なので、かからなくなります。
所得税、住民税の得を合わせると、約490万円の税金を抑えることができます。
この数字をお見せすると、理事長は「こんなお得な制度があったんだ」と驚いた様子でした。
企業型確定拠出年金は、受け取り時には税金がかかります。理事長は、保険を活用して退職金を準備しており、そちらで退職所得控除は使い切る見込みでした。ただ、2分の1にできるので、
約1,082万円÷2=541万円
詳しい税金の計算式は割愛しますが、ざっくりした計算で、120万円程度の税金で済むことになります。それを考慮しても、約370万円ほどは税金を抑えられている計算になるのです。
岩崎 陽介
株式会社Financial DC Japan
代表取締役社長