(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年は急激なドル高円安に見舞われ、さらに年末には金融引き締めへの動きも見られました。2023年の予測が一層、難しくなるなか、ストラテジスト・浅井聡氏は為替も不動産市況も「米国>日本」の構図は変わらないといいます。それはなぜなのでしょうか。その真意と、2023年に取るべく投資戦略についてみていきます。

アメリカも不況リスクはある…だからこそ、不動産

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日本に比べると地力で勝るとはいえ、アメリカの経済も不安材料がないわけではありません。長期化するインフレと、それを退治するための利上げは、市民の暮らしと資産にダメージを与えます。

 

そんな今だからこそ、目を向けたいのが現物資産の代表格である不動産です。その理由は大きく二つあるでしょう。

 

一つめは、実需によって支えられている市場であること。アメリカでも日本でも、景気に関わらずマイホームは必要です。アメリカでは金融引締めに伴って住宅ローン金利も上昇しています。この環境下では、マイホームを買い替えることによって、住宅ローンも組み直しとなりますから、買い替えを見送って金利負担が大きくなることを避けようという動きが顕著ですが、言い換えれば、今の家を手放すことがないということです。

 

現在、住宅着工件数や販売件数は前年同月比3割程度落ち込んでいますが、買う人が減るということは売る人も減る。つまり、株式市場に例えると、出来高は減少しているが株価は堅調という状態と言えるでしょう。このように投機マネーが少なく、実需マネーによって成り立っている住宅市場は不況の時でも投資対象となりえるのです。

 

もう一つは、不動産は空売りができないということです。不況下において、金融資産の価値が暴落する最大の要因は空売りです。例えば株式の場合、株価が下がりはじめると、下げに乗じて一儲けしてやろうという投資家が空売りのポジションを取ります。これにより、売りの勢いが増し、ますます価格下落が進むわけです。不動産の場合はこのリスクがないため、暴落が起こりづらいのです。

2023年のアメリカ不動産市況は?

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最後に、2023年のアメリカ不動産市況について予想してみましょう。条件ごとの市況予想を表にまとめたのが下の図です。一言で言い表すなら、「インフレ長期化と利上げで市民は目先の生活防衛に向かう」です。

 

【図表】2023年「アメリカ不動産」WIN/LOSE

 

各項目について簡単に解説します。

 

まず、「セクター」と「エリア」。この2つは新型コロナウイルス要因です。在宅勤務の浸透により住宅需要が増え、オフィス需要が減りました。住む場所もオフィス近くの大都市密集から、地方への分散が進んでいます。そのため、ビジネスマンや大都市居住者を相手にする小売店の需要も伸びづらい状況ですが、これは既に材料織り込み済みと言ってよいでしょう。

 

続いて「価格帯」と「物件状態」です。インフレが激化するなか、生活に余裕のない人々はわざわざ高い住宅ローン金利を払ってまで家を買おうとはしないでしょう。結果、低価格な家の需要が減り、その分賃貸需要が増します。

 

最後に、「新築・中古」ですが、こちらも金利高によるものです。前述の通り、新築にしろ、中古にしろ、現在はローンが組みづらい状況です。新築の場合、誰かに買われるまで空室になってしまうため、買い手がローンを組みやすい価格まで金額を下げるケースもあるでしょう。一方、中古の場合は買い替えのローンが組めない人々は現在の家に住み続け、自己資金をためたり、ローン金利が下がるのを待ちます。売買が発生しないため、売買件数は落ち込んでも価格水準は下がらないのです。

 

上記の予想は、現在のインフレ状況に大きく影響を受けています。そのため、インフレが抑制されればまた違った未来もあり得ます。ただ、アメリカ経済が世界経済と個人の投資戦略において重要な存在であることは、2023年も変わらないことでしょう。

 

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