相続には十人十色の事情があり、場合によっては家族や親族同士の関係を壊してしまうこともあります。そうした事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。相続に必要な知識や相続を円満に進めるコツについて、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届けします。
遺言執行者は相続人と同一人物でもよいのか?
相続人の中から、遺言者の信頼できる人を選んで遺言執行者に指定し、遺言執行者が相続人と同一人物となっても問題ありません。遺言書に例えば「長男〇〇を遺言執行者に指定する」と明記すれば、相続人から遺言執行者に就任できます。
ただしこの場合には、遺言執行者であると共に相続人という立場で手続きを担います。遺言内容に不満を持つ人が現れたり、財産調査や全ての相続人の確認が難航したりするケースも想定されます。
遺言執行者を相続人の中から指定する際は、相続人達から信頼が厚く、冷静に物事を進められ、手続き等の知識もある程度備えている人を選びましょう。
相続人が遺言執行者になるとデメリットも…発生しうるトラブルとともに解説!
相続人が遺言執行者となれば無報酬で、様々な遺贈や相続手続きに関する作業を行ってもらうことができます。しかし、次のデメリットにも注意しましょう。
遺言執行者と“他の相続人”が揉め出す
遺言執行者も相続人の1人である以上、遺言内容に従い公正な作業を行っているか、相続人から疑われるおそれもあります。遺言内容で受け取れる遺産が少ない人や、遺言執行者と元々仲が悪かった人には注意しましょう。
例えば遺言書を捏造したとか、遺言内容を遺言執行者本人へ有利にするため一部を改竄(勝手に変更)したと疑われ、相手方から「遺言無効確認訴訟」を提起されるケースも想定されます。
遺言執行者の知識不足などでなかなか手続きが進まない
相続人間で遺言内容に関する不満がでなくても、相続人や相続財産が多いと、遺言執行者に大きな負担がかかります。法律的な手続きに疎く行政窓口や金融機関から修正を求められ、何度も手続きをやり直すケースも考えられます。
また、遺言執行者が仕事を持っている人なら、遺言の諸手続きに従事する時間は限定されてしまいます。行政窓口や金融機関は平日に申請を受け付けている場合が多いので、仕事を休んで対応することもあるでしょう。
株式会社サステナブルスタイル
代表取締役
株式会社サステナブルスタイル代表。遺品整理の現場で残された家族の姿をたくさん見てきた経験から、明らかに「円満なご家族」と「不穏な空気のご家族」に分かれることに気がつき「円満な相続」を迎えるために何ができるだろう、と考えたことをきっかけに、2022年8月10日、23篇に及ぶ相続に関する実話を紹介する本「もう会えないとわかっていたなら」を出版。Amazonの日本文学(日記・書簡)カテゴリで1位を獲得。同書籍の抜粋転載記事は、Yahoo!ニュースのライフカテゴリでアクセス数1位を記録。
相続終活のWebメディア「円満相続ラボ」を運営し、相続を円満に終えるために必要なノウハウを発信している。
株式会社サステナブルスタイル
相続終活メディア「円満相続ラボ」
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載相続・終活の疑問を解決!円満相続にたどり着く方法を具体例とともに徹底解説
株式会社サステナブルスタイル
円満相続ラボは「全ての家庭に、相続の『かかりつけ医』を。」をコンセプトに、相続終活の情報発信を通じて、争う相続を減らし円満相続に貢献することを目的としている相続終活のWebメディア。まだまだ相続について詳しくない方が多い中で「円満相続ラボ」を通じて、相続の「こんなはずじゃなかった」を減らしていくために日々情報発信を行なっている。
相続終活に関する情報提供はもちろんのこと、コラムを読んでくださった方が抱えている課題に合った相続の専門家の派遣も行っている。
相続終活メディア「円満相続ラボ」
運営:株式会社サステナブルスタイル
協力:株式会社スタルジー
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載相続・終活の疑問を解決!円満相続にたどり着く方法を具体例とともに徹底解説