分散投資・流動性等の点でも、貸家よりメリット大
自宅の近くに貸家を持つとするなら、その地域の経済発展に賭けることになります。発展すれば大いに儲かるかもしれませんが、発展しなければ、あるいは大規模災害に見舞われれば、大損するかもしれません。そうはいっても、自宅から離れたところに物件を購入するのは不安でしょうし、管理も面倒かもしれません。
場所の問題もそうですが、分散投資ということも考える必要があるでしょう。株式投資なら、たとえば1,000万円を使って50万円ずつ20銘柄の投資をすれば、十分な分散投資が可能ですが、貸家の場合は50万円で物件を購入することはできませんから、1,000万円でワンルームマンションを1室購入する、といったことになるでしょう。しかしそれでは、その部屋になにかあったときに失うものが大きすぎます。
20人で1,000万円ずつ出し合って20軒の貸家を購入すれば、どこか1軒でなにか問題が生じても、損失は20人で分担するので、悲惨な結果は避けられます。ほかの19軒から十分な利益が得られれば、問題ないといえるでしょう。
投資信託は、まさに大勢の投資家から資金を集めて多くの株式や貸家を購入するというものですから、リスク分散の効果が大いに期待できるわけです。
REITのもうひとつのメリットは、資金が必要になったときに容易に換金できる、ということです。不動産は売却に手間と時間がかかります。急いで資金が必要なときに売り急げば、と買い叩かれる可能性もあります。しかし、REITなら流動性が高い(活発に売買されている)ので、買い手を見つけることが容易なのです。
もちろん、買った値段より高く売れるという保障はありませんが、それは個々の不動産を買った場合も同じですから。
住宅資金を貯めるなら、REITの活用も選択肢に
上記のように、筆者はREITを積極的に推奨するものではありません。「貸家という不動産そのものを持つくらいなら、REITの方がマシだ」という程度に考えています。
そんな筆者ですが、REITをお勧めする相手もいます。それは、将来自宅の購入を考えていて、住宅資金を貯めている人です。
REITは、住宅を持っているわけですから、世の中の不動産価格が上がれば値上がりしますし、下がれば値下がりするはずです。そうであれば、REITを持っていることによって、「頭金が貯まるまでの間に住宅価格が上昇してしまったが、REITが高く売れたので助かった」といったことが起こり得るからです。
もちろん、「頭金が貯まるまでの間に住宅価格が下落したが、REITも値下がりしてしまったため、あまり助からなかった」といったことも起こり得ますが、それは悲惨な目に遭わないために儲けのチャンスを諦める、ということで割り切るしかありませんね。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
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塚崎 公義
経済評論家
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