(※写真はイメージです/PIXTA)

あと2年後の2025年には、団塊の世代がすべて後期高齢者に。一方で、コロナ禍の影響もあり2021年の出生数は81万人にとどまっており、いずれ集計結果が発表される2022年は、それをさらに下回ることが予想されます。そのような背景もあり、日本の年金制度の崩壊を危惧する声が高まっていますが、実情はどうなのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

日本の年金制度は「3階建て」、公的年金は「2階建て」

日本の年金制度は「3階建て」になっています。1階部分は全員が加入する国民年金、2階部分はサラリーマン(男女を問わず、公務員等も含む、以下同様)が加入する厚生年金で、どちらも公的年金です。3階部分は各自が自由に加入する私的年金で千差万別なので、本稿では取り扱わないこととします。

 

出所:厚生労働省
[図表]日本の年金制度 出所:厚生労働省

 

公的年金の制度は複雑なので、別の機会に詳述しますが、重要なのは「サラリーマン」と「それ以外」で扱いが大きく異なるということです。とりあえず、サラリーマンは年金保険料が給料天引きなので払い漏れが起きにくいけれども、自営業者等は年金保険料を自分で払うので、払い漏れがあると老後に受け取れる年金が少なくなってしまう、ということは強調しておきましょう。

サラリーマン夫婦の公的年金「月額22万円」

老後に受け取れる金額の目処として、1階部分の国民年金は、全員同額で毎月の支給額は6.5万円です(年金保険料の払い漏れがない場合)。2階部分の厚生年金は標準的なサラリーマンで月額9万円とされています。

 

厚生年金は現役時代の収入が多い人は払う年金保険料も老後に受け取る年金も多くなるのですが、ここでは大まかなイメージとして「サラリーマンと専業主婦(主夫を含む、以下同様)の夫婦は、老後の年金が毎月22万円程度受け取れる」と理解しておきましょう。6.5万円の2倍プラス9万円という計算です。

 

年金支給開始は原則65歳なので、60歳で定年になって65歳まで働いて生活費を稼げば、それ以降は年金で最低限の生活は可能だ、というイメージですね。

長生き&インフレ…2大リスクに見事対応する公的年金

公的年金が老後資金の最大の柱だ、というのは金額面だけではありません。老後資金の2大リスクである長生きとインフレにしっかり対応してくれるのです。

 

長生きはいいことなのですが、老後資金のことだけを考えれば、長生きをしている間に老後の蓄えが底を突いてしまう可能性があるので、リスクです。長生きをしている間にインフレが来て必要な生活費が膨らんでいったら、悲惨な老後になりかねません。

 

しかし、公的年金はどんなに長生きをしても生きている間はずっと受け取れますし、インフレが来れば原則としてインフレ分だけ毎回の支給額が増えるので、生活レベルが維持できるわけです。

 

これは、現役世代が高齢者を支えるシステム(賦課方式と呼びます)だから可能なのです。インフレが来ると現役世代の給料が上がるので、多くの年金保険料を支払ってもらうことができる、というわけですね。

 

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