(※写真はイメージです/PIXTA)

アメリカの大学は、レベルが高くなるほど学費も上がる傾向にあります。名門大学となるとどれだけの学費がかかるのか、日本と比べてどれだけの差があるのか。また、高い学費をかける価値は本当にあるのか。海外名門大学への留学・進学に詳しい小泉涼輔氏(株式会社U-LABO 代表取締役社長)が、米国名門大学の実情を解説します。

日米の「名門大学の学費」はこれだけ違う

アメリカには、4,000を超える大学があり、世界の名門大学と言われる大学も多く存在しています。一方、大学のレベルが高いほど、学費も高額になる傾向にあり、物価の影響もあるものの、世界的に見ても学費が非常に高くなっています。

 

実際に、アメリカの名門大学における学費を見てみましょう。私立大学の名門であるアイビーリーグ、公立大学の名門であるパブリックアイビーからそれぞれ3校をリストアップしました。

 

[図表1]米国名門大学の平均学費(年間)

 

アメリカの一般的な学費は私立で約544万円(39,728ドル)、公立で約314万円(22,958ドル)と言われていますので、名門大学の学費はアメリカでも高い水準にあることが分かります。公立大学であれば学費は若干安くなりますが、依然として非常に高い水準です(州民であれば実はもっと安いのですが、ここでは州外料金を記載しています)。

 

比較のために、日本の名門大学の学費も見てみましょう。こちらも私立大学の名門である早稲田大学、慶應大学、上智大学、公立大学の名門である東京大学、京都大学、一橋大学を並べています。

 

[図表2]日本の名門大学の平均学費(年間)

 

アメリカの学費水準と比較すると、なんと5分の1から10分の1。非常に安価に感じますよね。日本と比較してこんなにも学費が高いアメリカの名門大学ですが、本当に行くメリットはあるのでしょうか?

米国名門大学を目指すメリットはこれだけある

日本の名門大学を出るのもとても素晴らしいことですが、アメリカ名門大学を出ることでしか得られないメリットはたくさんあります。

 

■真の「グローバル人材」になる

ビジネスの場で求められるのは英語を話すだけではなく、英語で自分の意見を発信したり、他者とディスカッションしたりする力。アメリカ名門大学では優秀な学生と日々議論を交わすので、こうした力が圧倒的に鍛えられます。

 

また、昨今は日本の企業や組織でもダイバーシティが進み、「異文化理解」のできる人材が求められる社会になってきました。アメリカ名門大学には世界中の学生が集まりますし、アメリカ自体にも多様な人種が住んでいますので、異文化理解力を高めるには最高の環境です。

 

英語力だけでなく、ディスカッション力や異文化理解力の高い人材は、ビジネスの場で非常に貴重な戦力となるでしょう。

 

■進路の可能性が広がる

日本の大学を出ている学生は約1年かけて就活するのが一般的ですが、有名な留学生向け就活イベント「ボストンキャリアフォーラム」では、有名企業が2~3日で内定を出してくれます。特にアメリカ名門大学卒は留学生の中でも目を引くため、アピールポイントになることは間違いありません。更に、日本企業の人事担当自らがキャンパスに訪問し、キャリアイベントや面接を実施してくれることもあり、キャリアフォーラム前に内定が出ている学生も珍しくありません。

 

また、将来海外で就業したいと考えているのであれば、アメリカの名門大学を出ていることは大きなアドバンテージです。世界的に知名度が高いので、日本の大学を出るよりも遥かに就業機会は多くなるでしょう。

 

■最強の人脈づくり

アメリカ名門大学には、世界中から優秀な学生が集まります。日本にいたら出会えないような学生と学友になれるというのは最大のメリットかもしれません。通常、名門大学には寮がついており、学生間の距離も近いので非常に強い繋がりを持つことができます。アメリカは良くも悪くも「コネ」が大事な社会ですから、世界経済の中心であるアメリカに「コネ」を作れるというのは、将来間違いなく役に立ちます。

 

■卒業後の年収

アメリカ名門大学卒の年収は、卒業0~5年で1,000万円~1,200万円、卒業10年以降で1,900万円~2,200万円(*2)。物価の違いはあるものの、非常に高い水準にあることが分かります。昨今、ニーズが高いエンジニア関連の職種等であれば、年収3,000万円超も夢ではありません。

 

(*2)Payscale社 College Salary Report 2021をもとに筆者集計。1ドル=137円換算。

米国名門大学で学ぶには?一般的なルート

多くの日本人学生が利用する通常出願であれば、高校3年生の9月頃に受付が始まり、12月頃に出願締切、翌年2月頃に面接(あれば)、3月頃に合格通知、5月頃に入学手続、9月に入学という流れが一般的です。出願に当たっては、一般的に以下のような要件が課されます。

 

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●高校での成績(GPA)

●SATやACT等のアメリカ大学共通テストのスコア(*3)

●TOEFLやIELTS等の英語テストのスコア

●課外活動

●推薦状

●エッセイ

 

(*3)コロナ禍の影響で要件としない大学も増えてきている。

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世界中の学生と戦わなければならないため、上記のすべてをトップレベルに持って行く必要があります。こうした背景もあり、日本人学生がアメリカ名門大学に合格するためには遅くとも14歳ごろからの準備が必要と言われています。

米国名門大学はやはり「お金持ち」しか目指せない?

準備にも時間とお金がかかり、更に学費も超高額となると、アメリカの名門大学はお金持ちしか目指せないのでは?と思うかもしれません。

 

でも、実は準備期間と学費を大幅に減らせる方法があります。3年次「編入」を利用して名門大学卒業を目指す方法です。1・2年次は小規模で安価な大学で力を付けつつ、3年次編入の際にレベルの高い名門大学に出願する。これにより、最大で1,000万円程度の学費節約が可能です。また、最初に小規模大学に入る段階では、名門大学を目指すほどの準備は不要なので、準備にかけるお金と時間も節約することができます(その分、小規模大学での勉強を頑張る必要はあります)。

 

編入はアメリカでは非常に一般的な制度であり、現地学生もよく使う入学方法。編入だからといって不利な取り扱いをされるということはありません。

 

また、私立大学であれば、「ニードベース」と呼ばれる、家庭の収支状況に応じて支給される返済不要の奨学金が留学生でも申請できます。小規模大学で実力をあげてから挑むことで、アイビーリーグに奨学金付き合格を目指すことも現実味を帯びてくるのです。

 

アメリカの名門大学は、学費も難易度も高いですが、その分得られるリターンは非常に大きく、一生ものの経験です。高いから…と諦めずに、まずは色々な方法を検討してみるのも手ではないでしょうか。日本の名門大学を出るのもとても素晴らしいことですが、アメリカ名門大学を出ることでしか得られないメリットはたくさんあります。

 

 

小泉 涼輔

株式会社U-LABO 代表取締役社長

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)卒業。世界4大会計事務所の1つであるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)入社後、国際税務業務に従事。日本の多国籍企業へのコンサルティング経験を通じて、将来のグローバル人材育成の重要性を痛感し、U-LABOとして世界トップ大学への進学・留学サポートを開始。日本で最もアメリカ名門大学への編入に精通した専門家の1人として、これまでに多くの学生を合格に導いており、2022年にはUCLAが選ぶグローバルに影響を与える事業100(「UCLA Bruin Business 100」)に選出されている。

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