次元が違う…日本よりはるかに稼ぐ「アメリカの勤務医」、診療科目別の年収 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本人の平均給与が500万円未満である一方、医師は1千万円超の世界。ただでさえ高収入職業の医師ですが、「アメリカの医師」となると次元が変わります。日米における医師の給与水準を確認しつつ、日本人がアメリカで医師になる方法を見てみましょう。海外名門大学への留学・進学に詳しい小泉涼輔氏(株式会社U-LABO 代表取締役社長)が解説します。

アメリカの勤務医は「年収5千万円超」もザラ

「医師」と言えば、日本でも屈指の高収入な職業です。でも実は、医療大国アメリカにおける医師の年収と金額に大きな開きがあることはご存じでしょうか。

 

アメリカにおける医師(勤務医)の年収を、診療科目別に見てみましょう【図表】。

 

Physicians Thrive『2022 Physician Compensation Report』、Dr.転職なび『【2022年度版】診療科別・医師の年収ランキングともっと収入を増やす方法』を基に筆者作成
【図表】診療科目別 勤務医の年収 Physicians Thrive『2022 Physician Compensation Report』、Dr.転職なび『【2022年度版】診療科別・医師の年収ランキングともっと収入を増やす方法』を基に筆者作成

 

同じ診療科目でも年収に2倍~4倍もの差があることが分かります。このような状況を見ると、日本を飛び出してアメリカで医師になりたい!と思う方も少なくないかもしれません。

アメリカで医師になるには?一般的なルート

では、アメリカで医師になるには実際どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。具体的な流れを見る前に、まずは日本で医師になるまでのステップを見てみましょう。

 

医学部合格

⇒医学部で6年間学ぶ

⇒国家試験に合格(※ここで、医師免許を取得)

⇒臨床研修医として2年以上の経験を積む

⇒専門科に進む

 

次に、アメリカで医師になるまでの一般的なステップを見てみましょう。

 

大学合格(学部問わず)

⇒大学で4年間学ぶ

⇒MCAT(The Medical College Admission Test)&メディカルスクール(医科大学院)合格

⇒メディカルスクールで4年間学ぶ(その間に、日本の医師国家試験に該当するUSMLE〔United States Medical Licensing Examination〕に合格し、医師免許を取得)

⇒レジデント(研修医)として3~6年の経験を積む

⇒専門科に進む

 

日本においては、専門医になるまで高校卒業から約8年間かかるのが一般的ですが、アメリカではなんと11年~14年かかるのが一般的であり、とても長い道のりになっています。

 

また、アメリカのメディカルスクールは非常に高額であり(大学にもよりますが、年間約1千万円程度)、多くの学生は返済型の奨学金を借りながら学び、働きながら返していきます。レジデントの間は給与がそれほど高くないため、専門医になるまでは生活が苦しい場合もあり、相当な覚悟が必要な道のりだと言えるでしょう。

日本人が「アメリカで医師免許を取る」のはほぼ不可能

ここまでは一般的なルートを紹介していきましたが、実際、日本人がこのルートでアメリカの医師になる可能性はどのくらいあるのでしょうか?

 

結論から言うと、上記で紹介したルートで日本人が医師になることは、ほとんど不可能に近いと言えます。なぜか? それは、医師資格のない日本人をメディカルスクールが受け入れてくれないからです。アメリカのメディカルスクールでは、少ないながらも留学生の受け入れを行っていますが、自国で「医師免許」を取得する過程がきちんと整備されていない国の学生が優先となり、医師になる過程が整備された日本のような国の留学生には、ほとんどチャンスを与えてくれません。

 

このような事情は、メディカルスクールのHPなどにも書いていないことが多く、実際に出願してみないと、実情に気づけないということがあります。そもそもこのルートで目指そうとする学生は少ないので私自身は経験がないのですが、弊社在籍のベテランカウンセラーは過去、このルートで3名の日本人学生の出願を支援したことがありました。3名とも非常に優秀な学生だったにも関わらず、複数のメディカルスクールに出願し、すべて不合格。アドミッションオフィスに不合格の理由を問い合わせたところ、すべての学校から「日本には医師の国家資格がある。自国で取った方がよい」という理由で断られたのです。

 

(※2010年に、「2023年以降は国際基準で認定を受けた医学校の出身者にしかUSMLEの申請資格を認めない」との通達がなされました。これにより、日本の医学部も急ピッチで整備が進められていますが、まだ基準を満たしていない学校も多くあります。2023年以降はこれを理由に医師免許のない日本人がメディカルスクールに入学できる可能性もありますが、それでも合格可能性は著しく低いと言えるでしょう。)

アメリカで医師として働くための「現実的なルート」

でも実際には、アメリカで活躍している日本人医師はたくさんいます。こういう方たちはどのようなルートを経由しているのでしょうか。

 

答えは簡単で、日本で医師免許を取ってからアメリカに渡ればよいのです。自国での医師免許をすでに持っていれば、難易度は高いですが、メディカルスクールへの入学許可が格段に下りやすくなります(その場合、学校にもよりますが日本で終えている過程は飛ばして実習部分だけを履修する形になることが多いようです)。

 

また、海外の医学生や医師でも医師免許試験(USMLE)を受けることができるため、メディカルスクールに通わずともアメリカで医師免許を取ることも可能です。

 

日本の病院で数年勤務した後に、アメリカの病院のレジデンシープログラムに申し込む手もあります。日本で医師の勤務経験があれば、所属する大学病院等を通じて、コネクションのあるアメリカの病院へアプローチをすることで、より留学しやすくなるということもあるようです。

 

医師は人の命を扱う仕事であり、ミスが許されない仕事。日本語の中で育ってきた我々日本人には、どうしても超えられない文化・言葉の壁があります。そのため、まずは母国語で医師免許を習得し、その上でアメリカに留学するというのが理にかなっていると言えるのではないでしょうか。

 

 

小泉 涼輔

株式会社U-LABO 代表取締役社長

UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)卒業。世界4大会計事務所の1つであるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)入社後、国際税務業務に従事。日本の多国籍企業へのコンサルティング経験を通じて、将来のグローバル人材育成の重要性を痛感し、U-LABOとして世界トップ大学への進学・留学サポートを開始。日本で最もアメリカ名門大学への編入に精通した専門家の1人として、これまでに多くの学生を合格に導いており、2022年にはUCLAが選ぶグローバルに影響を与える事業100(「UCLA Bruin Business 100」)に選出されている。

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    株式会社U-LABO 代表取締役社長 

    UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)卒業。世界4大会計事務所の1つであるプライスウォーターハウスクーパース(PwC)入社後、国際税務業務に従事。日本の多国籍企業へのコンサルティング経験を通じて、将来のグローバル人材育成の重要性を痛感し、U-LABOとして世界トップ大学への進学・留学サポートを開始。日本で最もアメリカ名門大学への編入に精通した専門家の1人として、これまでに多くの学生を合格に導いており、2022年にはUCLAが選ぶグローバルに影響を与える事業100(「UCLA Bruin Business 100」)に選出されている。

    【株式会社U-LABO(⇒https://ulabo.org/)】

    著者紹介

    連載専門家が教える「海外名門大学」への進学事情

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