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債券単価について抑えておきたい3つのポイント
債券のあまり知られていない要素の1つに、債券単価という概念がある。これは、株で言うところの株価のようなもので、発行時に比べ、現在は何%の価格がついているかを表すものである。発行時に100%で発行され、満期時には100%で償還されるが、償還までの間に110%になったり、90%になったりと変動する。
この債券単価をうまく利用すれば、債券をより効果的に運用できるようになるのだ。ここからは、債券単価について抑えておきたい3つのポイントを紹介したい。
ポイント① 販売する証券会社によって債券単価は異なる
まず、1つ目のポイントについて。債券は販売する証券会社によって単価が違うということである。なぜかというに、売買における「手数料」に関して、株式や投資信託は、取引金額の何%という形で別途支払うような仕組みであり、その手数料は開示されていることがほとんどである。
一方、債券は「手数料」が単価に内包されている仕組みであり、開示されていないケースがとんどである。別途「手数料」を支払う必要がないため、一見すると、シンプルで明快だが、「手数料」にいくら支払っているのか不透明であることは、デメリットでもある。
同じ商品(債券)でも、販売している各証券会社によって「手数料」は異なるため、購入先によって、しばしば条件は変わる。債券単価は債券の利回りに直結するため、複数の証券会社の債券単価を比較し、もっともよい条件で購入できるよう努めることは、非常に大切なことだと考える。
ポイント② 債券単価が100%超えのものを活用する
次に、2つ目のポイントについて。債券単価が100%を超えている債券をうまく使うということだ。既出のとおり、債券は100%で発行され、満期時には100%で償還されるため「100%より大きい単価が付いている債券を買うのは損じゃないの?」という声をよく聞く。しかし、実はそうではない。100%を超えることによるメリットがあるのだ。
具体的にどういうメリットがあるのか。例えば、単価110%で購入した債券を満期まで保有すると、100%で償還されるため、10%分の償還差損が出ることになる。この償還差損は、向こう3年の運用益と損益通算(※)することができるのだ。
※【損益通算とは】
■概要
損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のもの(損益通算の対象となる所得の範囲)についてのみ、一定の順序にしたがって、総所得金額、退職所得金額または山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。
■損益通算の対象となる所得の範囲についての注意点
申告分離課税の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上生じた損失
(引用元:国税庁ウェブサイトhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm#:)
運用益に対しては、通常20.315%の税金がかかるため、100万円の運用益が出ても実際の手取り金額は約80万円分となる。
だが、もし債券の償還差損が50万円出た場合には、損益通算をすることで、税金は損を引いた分の利益のみにかかるため、100万円の運用益に対して手取り金額は約90万円になる。単価が100%を超えている債券をうまく組み合わせることで、より多くの手取り金額を得ることができるのだ。