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資産を円でもっていても大丈夫?
ここ半年、お客様とお話させていただく中で、「円高のころ入ったドル建て保険で儲かったよ。」「株価下がっているけど為替でトントンだね」というお話をたくさんいただく。1ドル=151円台まで円安が進み、32年ぶりの円安で恩恵を受けた人も多いのではないだろうか。
裏を返せば、為替の影響の大きさを感じているがために、この先の為替はどうなっていくのか? このまま円だけで持っていていいのか? はたまた今の為替でもドルを持つべきなのか? と気になっている方は多いと思う。本記事では、資産の中で外国通貨を持つ意味と現在の為替の見通しを解説していきたい。
なぜ外国通貨を持つ必要があるのか?
資産を増やすためではなく、資産(の購買力を)を守るために外国通貨が重要
まず、為替について考えるにあたって大前提がある。それは将来の為替動向がどうなるかは誰にもわからないということだ。為替とは、異なる通貨の交換比率である。つまり、その時々の様々な需給要因や心理によって変動しているので、それらを正確に予測するのは不可能に近い。
だからこそ、通貨を分散させて、リスクをヘッジ(回避)することが必要になる。為替において、本当の意味でこの通貨のリスクヘッジという考え方を理解している人は少ないように感じる。なぜなら、日本人の多くが生活の中で外国通貨を使うタイミングがなく、為替と言えば短期的に儲かったかどうかということに目が行ってしまうからである。
円しか使わないなら円だけもてばいいと言う人がいるが、実はそうではない。今の1万円で買えているものが将来1万円で買えなくなる可能性(リスク)があるのだ。
それは、まさに今直面している「円安」リスクである。パソコン、スマホ、服、食べ物など、身の回りには海外で生産されたモノであふれている。円安になるとこれらの商品を買うのに必要な円の量は増える、つまり値段が上がるのだ。
わかりやすいのはiPhoneだろう。2008年の発売当初は10万円もしなかったiPhoneが、今では20万円するモノもある。もちろん機能性の向上はあるが、米国で販売されているモノの値上げ率より日本の値上げ率の方が高い。円安によって値段が上がっているのだ。
つまり、円安が進むということは、その分物価が上がり、生活が貧しくなっていくことを意味する。円安が進み、1ドル=200円、300円となってしまえば、今のiPhoneが30万円、40万円するかもしれない。そうするともっと生活は苦しくなる。
為替は需給と心理で決まるため、適正価格は存在しない。約10年前には1ドル=75円台をつけていたにもかかわらず、今150円を突破し、今後さらに円安が進まないとは言い切れない。もしそうなった場合でも資産の購買力を守れるように、資産の一部を外国通貨でもっておくべきだといえる。
円高リスクがあっても、円安リスク回避のために外国通貨を勧める理由
では、逆に円高に振れてしまったらどうするという議論があるが、その場合は持っている円で海外の物が買いやすくなり、生活は豊かになっていく。すなわち、円安に進み過ぎてしまう懸念に備えるべきなのである。外国通貨をもつ意味というのは、短期的に為替で利益をとるのではなく、将来のインフレに備えることである。