(※写真はイメージです/PIXTA)

資産運用には、主な株式投資や不動産投資のほか、企業が発行する「債券」を購入するという方法があります。前述の投資とは特性の異なる「債券」をポートフォリオに組み込むことで、資産運用のリスクを軽減する作用が期待できます。本記事では、「債券」について具体的事例を交えて、資産コンサルティング業務の専門家である田邊陽吉氏が解説します。

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    金融商品のなかで、相対的にリスクが低い「債券」

    「こんな運用商品あるんだったら、みんなやった方がいいじゃん、なんでやらないの?」これは、弊社のあるお客様からご提案後に言っていただいた言葉だ。この方は、ご退職時期が近づき、老後の資産形成として何か運用した方がいいのでは? と感じ、ご相談いただいた方である。

     

    詳しくお話を伺うと、投資というものに漠然と抵抗感があり、自身で行っている投資は「安全だと聞いた」という理由で積立NISAのみとのこと。何度か資産運用の提案を受けたことはあったが、不安の方が優ってしまい、踏み切れなかったそうだ。

     

    ヒアリングを重ねて私が提案したのが、「債券」である。具体的には、米ドル建ての社債だ。なぜ私が「債券」を提案したかと言うと、数多ある金融商品のなかでも、相対的にリスクが低く、安定的に運用できる商品であると言えるからである。

     

    ところが、こうした特徴については一般的にあまり浸透していないため、本記事ではこの「債券」の仕組みや特徴についてご紹介していこうと思う。

    「債券」とは?

    少々固くなるが、「債券」の仕組みと、他の金融商品とは異なるメリットについて、話していきたい。「債券」とは、企業や国にお金を貸す証明書である。つまり「債券」をもつということは、企業や国にお金を貸すということと同義である。

     

    主だった「債券」である、社債を例に説明する。発行体である企業は資金調達のために「債券」を発行し、それを投資家の方に買ってもらうことで資金調達をする。投資家はお金を貸していることになるので、もっている間は毎年利息を受け取ることができるようになる。

     

    「債券」の魅力は大きく分けて2つある。1つ目は、受け取れる利息が買った時点で確定するという点である。通常、株式や投資信託の配当金は、業績や運用成績によって、年毎に受け取れる金額は変動する。

     

    近年は、高配当株が流行っているが、配当はその会社の利益から捻出されるため、会社の業績が悪化すれば、当然、減配のリスクに晒される。たとえ減配しなかったとしても、株価の下落により元本割れを引き起こす可能性がある。しかし、「債券」の場合は買った時点で、貸したお金に対して毎年何%の金利が付くのか確定するのだ。

     

    「債券」の利回りを決める要因はいくつかあるが、最も大きな要因は企業の財務の健全性を表す「格付け」であり、格付けが高いほど破綻するリスクが低いため、利回りは低くなる。

    米国政府の利上げにより、社債利回りは上昇

    ところが、現在米国の金利上昇により、米ドル建ての社債の利回りは急上昇しており、格付けの高い企業の「債券」でも3%~4%の利回りが受け取れるようになっている。

     

    国内株式の平均配当利回りが約2%であることからも、マーケットに振り回されることなく、毎年3%~4%の利金収入が確定しているという点は、相対的に魅力があると言える。

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