(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人ほど貯金が好きな民族も珍しいですが、このご時世、さすがにインフレを懸念する人も増えてきました。ところが、それでもなお「インフレも怖いが、株や外貨も暴落が心配…」といって、通帳を手にオロオロしている人もいます。そんな人に適した商品を見ていきましょう。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

インフレ予想だけで長期金利が上がる!?

多少専門的になりますが、先ほども触れた「長期金利の0.66倍」という話をしましょう。

 

長期金利というのは、普通の長期国債の金利のことですが、要するに「プロ同士が、長期間の固定金利で金を貸し借りするときの金利」だと思って下さい。固定金利というのは、契約時に今後10年間の金利を決めてしまう契約の金利です。

 

プロたちが、将来の短期金利の上昇を予想すると、借り手は、

 

「短期金利で借りたり返したりを繰り返すより、長期金利で借りたほうが得だ」

 

と考え、貸し手は、

 

「長期金利が上がらなければ、短期金利で貸したり回収したりを繰り返したほうが得だ」

 

と考えるので、長期金利での契約は、借り手が増えて貸し手が減ります。そうなれば当然、長期金利は上がるわけです。

 

つまり、実際にはインフレになっておらず、短期金利(銀行預金の金利等)は低いままなのに、長期金利は「将来インフレが来そうだ」と人々が予想しただけで上昇するのです。これは魅力的ですね。

 

ちなみに、0.66倍という数字は気にする必要はありません。長期金利の方が短期金利よりも高いのが普通なので、0.66倍されても損するわけではない、と考えておきましょう。

最強のインフレ対策としての「物価連動国債」

最強のインフレ対策として、物価連動国債もご紹介しておきましょう。これは、満期時に物価が2倍になっていたら払い込み額の2倍が戻ってくる、という国債なので、インフレになっても投資額が目減りしない、最強のインフレ対策なのです。

 

最低単位が1,000万円なので、庶民にはチョッと手を出しづらいところが問題なのですが、「退職金を受け取ってもすぐには手をつけず、働いて生活費を稼ぐ」という場合には、退職金の運用方法としてぜひ検討してみて下さい。

 

注意点としては、取り扱っている証券会社が限られており、大手証券に聞いてみる必要があることに加え、財務省から直接買うことができないため、持っているプロから売ってもらう必要があることです。しかも、1,000万円分の物価連動国債を買うとき、たとえば1,050万円ほど必要になるかもしれない、といったことが起こり得ます。つまり、インフレにならなければ、たとえば50万円ほど損をする可能性もある、というわけですね。

 

もっとも、南海トラフ大地震が来て物価が2倍になった場合に、投資額が2倍になって戻ってくることを考えれば、その分は「保険料」だと考えておけばよいでしょう。

 

本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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