相続には十人十色の事情があり、場合によっては家族や親族同士の関係を壊してしまうこともあります。そうした事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。相続に必要な知識や相続を円満に進めるコツについて、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届けします。
養子縁組による相続税対策は本当に有効か?
そもそも養子縁組をすることでなぜ相続税が安くなるのでしょうか。養子縁組をすると、相続税が安くなります。具体的には、相続税は法定相続人の数が多いほど基礎控除額が増え、税負担が軽減されるためです。
また、生命保険金の非課税枠の計算にも影響します。生命保険金には、受け取った場合に課税される相続税に対しての非課税枠があります。生命保険金の非課税枠の計算は、500万円×法定相続人の数です。したがって、法定相続人の数が増えるとその非課税枠も増額するのです。
さらに、死亡退職金も生命保険金と同じく非課税枠が増加します。死亡退職金の非課税枠の計算式も、500万円×法定相続人の数です。
では、節税のためだけの養子縁組は有効なのでしょうか。2017年に養子縁組の有効性が争われた訴訟での最高裁判決を例にみてみましょう。この裁判で争われた内容は、被相続人の男性と孫との間の養子縁組の有効性についてです。
判決の内容は、相続税の節税を目的に養子縁組をする場合であっても、直ちに無効になるものではないとして、このケースの養子縁組の有効性を認めました。しかし、この判決はあくまでも民法上の養子縁組の有効性に関する判決であり、税法上の相続税を減らすための養子縁組が認められた判決ではありません。
国税庁のホームページには、「養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、養子の数に含めることはできない」という記載があるので注意が必要です。
養子縁組による相続トラブル具体例
養子縁組をすると、相続の際に養子と実子や親族がトラブルになることは少なくありません。ここではいくつかの具体例を紹介します。
- 被相続人の死亡にあたり遺産分割協議をしようとしていたところ、全く面識のない人が養子であると名乗り出てきて、相続分を主張してきた。
- 姓を変更したいという理由で養子縁組をし、相続分を主張しないと約束したにもかかわらず、被相続人の死後、養子として相続分を主張してきた。
- 養子縁組をしたにもかかわらず、相続後に実子が承諾せず争いになり、その結果養子が相続放棄してしまった。
このように、養子縁組をすることで相続の際に養子と実子が争いになるケースは少なくありません。養子となる人や他の相続人にも大きな影響を与えるため、事前にしっかり話し合い、弁護士や司法書士などの専門家に相談することも視野にいれることが大切です。
浜田 政子
合同会社Run smile
代表社員
合同会社Run smile
代表社員 笑顔相続サロン®愛媛 代表 愛媛相続診断士協会 会長
愛媛県新居浜市で、終活&相続コンサルタント業務に従事。相続は起きる前の準備が必要であり、相続が「争続」にならないようコンサルタントとして笑顔相続へ導くために、専門家とチームを組んでサポート。「誰に相談したらいいか?」「どのように進めていけばいいか?」「なんで揉めるの?」といった相続に関する疑問や意見を聞き、相談者の想いに寄り添った支援を提供。笑顔相続サロン®︎愛媛の運営も行う。
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連載相続・終活の疑問を解決!円満相続にたどり着く方法を具体例とともに徹底解説
株式会社サステナブルスタイル
代表取締役
株式会社サステナブルスタイル代表。遺品整理の現場で残された家族の姿をたくさん見てきた経験から、明らかに「円満なご家族」と「不穏な空気のご家族」に分かれることに気がつき「円満な相続」を迎えるために何ができるだろう、と考えたことをきっかけに、2022年8月10日、23篇に及ぶ相続に関する実話を紹介する本「もう会えないとわかっていたなら」を出版。Amazonの日本文学(日記・書簡)カテゴリで1位を獲得。同書籍の抜粋転載記事は、Yahoo!ニュースのライフカテゴリでアクセス数1位を記録。
相続終活のWebメディア「円満相続ラボ」を運営し、相続を円満に終えるために必要なノウハウを発信している。
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円満相続ラボは「全ての家庭に、相続の『かかりつけ医』を。」をコンセプトに、相続終活の情報発信を通じて、争う相続を減らし円満相続に貢献することを目的としている相続終活のWebメディア。まだまだ相続について詳しくない方が多い中で「円満相続ラボ」を通じて、相続の「こんなはずじゃなかった」を減らしていくために日々情報発信を行なっている。
相続終活に関する情報提供はもちろんのこと、コラムを読んでくださった方が抱えている課題に合った相続の専門家の派遣も行っている。
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運営:株式会社サステナブルスタイル
協力:株式会社スタルジー
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