(※写真はイメージです/PIXTA)

食事や運動など、日々の生活習慣が直結するといわれる「高血圧」。しかし、高血圧になっていても「ほとんどの人は自覚がない」と、MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長の山本康博先生はいいます。大病を患うリスクを高める恐ろしい高血圧について、治療法と予防法も含めて山本先生が解説します。

飲酒、塩分…高血圧に直結する「身近な原因」と対策

高血圧は病気などが原因になることもありますが、以下で挙げるような「生活習慣」が発症に大きく関係します。

 

塩分摂取量

和食では塩やしょう油などの「塩分が多い調味料」をよく使うため、日本人は昔から高血圧になりやすかったといわれています。

 

厚生労働省の発表によると、日本人の1日の塩分摂取量は、男性が10.9g、女性が9.3gです。これは目安の「男性7.5g未満、女性6.5g未満」を大きく超えています。塩分の過剰摂取は血圧上昇に直結し、20代、30代の若い世代であっても塩分の過剰摂取が長く続けば、高血圧を引き起こすことがあります。

 

以下を参考に、早めに減塩対策を始めましょう。

 

【減塩対策のポイント】

 

•食材や調味量に含まれる塩分量を確認する
•外食や中食を減らし、自炊を増やす
•加工品はなるべく使わないようにして、自然の食材の風味を活かす
•減塩タイプの調味料、食品を使うようにする
•「だし」「薬味」「スパイス」など、塩味以外の調味料をきかせる
•麺類のスープは飲まない
•しょう油やソースは直接かけない
•漬物は控えめにして、味噌汁の減塩対策を徹底する

 

肥満、メタボリックシンドローム

肥満の人すべてが高血圧になるわけではありませんが、肥満の人は普通体重の人と比べて2倍〜3倍程度高血圧になりやすいといわれています。また、肥満の人は食べる量が多いため、塩分摂取量も多くなりやすいことも、高血圧のリスク上昇につながります。

 

食事内容や運動習慣を整えて、適切な体重、体型を保ちましょう。適切な体重の目安としては、BMIを参考にすることが一般的です。BMIが18.5以上25未満になるように、体重管理をしてください。

 

ただし、BMIが正常範囲内でも、腹囲が大きければ内臓脂肪が溜まっている「内臓脂肪型肥満」の可能性があります。内臓脂肪型肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常症のリスクが高い状態です。

 

腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上の人で、血圧、血糖値、血清脂質のうち2つ以上に異常値がみられる場合は、「メタボリックシンドローム」とみなされます。

 

メタボリックシンドロームは生活習慣病が非常に悪化しやすい状態であり、心臓病や脳卒中など命に関わる病気のリスクも高いです。

 

肥満やメタボリックシンドロームが多いのは40代以降の男性ですが、若い男性や女性もなる可能性があります。

 

肥満やメタボリックシンドロームになってしまってから体重をコントロールするのは大変ですし、年齢が上がると体重や脂肪を落としにくくなります。若いうちから以下を意識して、肥満やメタボリックシンドロームを予防しましょう。

 

【肥満、メタボリックシンドローム対策のポイント】

 

•体脂肪計や体組成計がついている体重計で毎日体重を計測する
•腹囲を定期的に計測する。パンツやスカートのウエストがきついと感じたときは注意
•毎食の食事の総カロリー量をチェックする
•脂質や糖質に偏った食事を控え、いろいろな食材をバランスよく食べる
•間食や夜食を控える
•適度な筋トレで基礎代謝を高め、有酸素運動で脂肪燃焼を促す
•自己管理が難しい場合は、肥満外来や専門のトレーナーに相談する
•お酒の飲みすぎ

 

お酒を飲むと一時的に血圧が下がることはありますが、継続的な飲酒は高血圧の原因になります。毎日の飲酒量が多いほど高血圧のリスクが高くなり、飲酒量を減らすと血圧が下がりやすくなることもわかっています。

 

また、お酒のおつまみは「塩味が強い食べもの」が多いため、お酒の飲み過ぎは塩分の過剰摂取の原因にもなりやすいです。アルコール飲料は、種類に関わらず高血圧の原因になり得ます。お酒は必ず適量を守り、1週間に1日〜2日以上の休肝日を作りましょう。

 

【お酒に関する高血圧対策のポイント】

 

•お酒の1日の摂取量の目安は、ビールや発泡酒(アルコール度数5%)では「500ml缶1本」
•休肝日を多くすることで、全体的な飲酒量を減らせる
•飲酒がストレス解消につながることはあるが、飲酒できない人、お酒が好きではない人が無理に飲む必要はない
•おつまみの塩分量に注意。締めのラーメンは食べない

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。