親が腰痛なら子も腰痛に…遺伝する「腰の不調」発生させない方法は【医師が解説】

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親が腰痛なら子も腰痛に…遺伝する「腰の不調」発生させない方法は【医師が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

全国健康保険協会によると、日本には腰痛持ちが約3,000万人いると推定されており、また、日本人の約8割が生涯のうちに一度は腰痛を経験するそうです。いったいなぜなのか……これには遺伝的要因が関係していると、横浜町田関節脊椎病院の越宗幸一郎院長はいいます。詳しくみていきましょう。

たまに聞く「腰痛は遺伝する」…はたして真実なのか?

「腰痛は遺伝する」という話を耳にしたことがある人も多いと思います。腰痛を引き起こす疾患にはさまざまなものがありますが、とりわけ遺伝と深い関わりを持つ2つの疾患について解説します。

 

遺伝と関わりがあるのは、ヘルニアと狭窄症

腰痛にもさまざまなものがありますが、遺伝ともっとも関係が深いのが、以下の2つの疾患です。

 

  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰部脊柱管狭窄症

 

腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の骨と骨の間にあり、クッションの役割を果たしている椎間板の一部が飛び出すことで神経を刺激してしまい、手足の痺れや痛みなどを引き起こす疾患のこと。

 

一方、腰部脊柱管狭窄症とは背骨のなかにある、神経の通り道である脊柱管が狭くなる疾患のこと。神経が圧迫さることで、腰から下にしびれや痛みを生じさせます。

 

これらの疾患は日本人に多く発症しており、腰椎椎間板ヘルニアの好発年齢は20〜40歳、腰部脊柱管狭窄症はそれよりも年齢が高く、中高年に多く発症しています。

 

実は、これらの疾患は遺伝と深い関わりを持っています。

 

椎間板が弱いという体質を受け継ぐと、くしゃみだけでもヘルニアに!?

「腰椎椎間板ヘルニアの発症には遺伝的要因が関与している」ということについては、これまでも多くの研究が進んでおり、特定の遺伝子だけで発症するのではなく、いくつかの遺伝子が関与する遺伝子多型であることがわかっています。

 

これらの遺伝子を持つことにより、椎間板が“強い・弱い”というのが体質として、親から子へ受け継がれています。そして椎間板が弱いと、たとえばくしゃみをしただけでも椎間板の一部が飛び出し、腰椎椎間板ヘルニアを発症してしまうこともあるのです。

 

一方、腰部脊柱管狭窄症の場合は、出生時から脊柱管が正常よりも狭い先天性と、成長に伴って脊柱管が狭くなる後天性のものがありますが、先天性は親から子へ遺伝する可能性があります。

 

つまり、親が狭窄症であれば、脊柱管が狭いという骨格的特徴が子どもへ受け継がれる可能性があり、それにより子どもも親と同じく腰部脊柱管狭窄症を発症する可能性があるのです。

 

喫煙の習慣が、さらに腰痛を悪化させる

ただし注意したいのは、必ずしも遺伝的要因だけで発症が決まるわけではないということです。

 

発症には日常的な姿勢や活動、食生活など環境要因も深く関わっており、なかでも発症の要因になりやすいのが肥満です。

 

肥満になると腰に大きな負担がかかりやすくなり、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症を発症しやすくなるのです。

 

そのほかにも気をつけたいのが喫煙。タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があるため、椎間板を変性させます。また、椎間板が変性すれば椎骨どうしがこすれ合って骨棘がつくられ、脊柱管が狭くなったり、神経が圧迫されたりする原因になり、腰部脊柱管狭窄症を発症させます。

 

ニコチンはビタミンCを流出させる作用があるという点にも注意が必要です。実は、椎間板の主成分はコラーゲン。コラーゲンを作るにはビタミンCが必要です。そのビタミンCがニコチンの作用により失われてしまうため、椎間板の変性が進んでしまうのです。

 

これまで行われた多くの研究で、「喫煙者は腰痛になりやすい」「喫煙は椎間板変性を悪化させる可能性がある」ということが示されています。

 

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