ほとんどの人は自覚なし…「高血圧症」の定義
高血圧とは、血管中を流れる血液が血管の壁にかかる圧が高い状態になることです。血液は心臓のポンプによって押され、全身を巡っています。
心臓が収縮したときの血圧を「収縮期血圧」、心臓が拡張したときの血圧を「拡張期血圧」と呼びますが、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合に「高血圧症」と診断されます。
高血圧症には原因によって2種類に分けられます。明らかな原因がわからないものを「本態性高血圧」、なんらかの原因があって高血圧を引き起こしているものを「二次性高血圧」と分類しています。高血圧症の多くは本態性高血圧で、原因がわからずに血圧が高くなっている人が大勢います。
高血圧ではっきりした自覚症が現れるのは、すでに血圧がかなり高くなっている人が多く、大半の高血圧の人には自覚症状がありません。読者の皆様のなかにも、血圧を測るまで自分が高血圧だと知らなかったという人も多くいらっしゃるかと思います。
高血圧になる人の割合は減少傾向も…「油断禁物」なワケ
2019年の「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の収縮期血圧(最高血圧)の平均は、男性が132.0mmHg、女性が126.5mmHgとされており、10年間でみると男性、女性ともに減少傾向にあるといわれています。
この傾向は、「収縮期血圧=140mmHg以上(高血圧の基準)」の人が占める割合においても同様です。収縮期血圧=140mmHg以上が占める割合は、男性が29.9%、女性が 24.9%となっています。
このことから、日本全体をみると高血圧は改善傾向にあるとも考えられますが、高血圧、糖尿病、脂質異常症の発症率は、40代以降から年齢にともない増加するため楽観視はできません。
40代の段階では服薬などの治療が必要ない高血圧が多いですが、治療が必要になる割合も年齢とともに増加します。