世界の死亡原因第1位は、心筋梗塞を含む心疾患
現在、日本では死因の第1位が「がん」、第2位が「心筋梗塞を含む心疾患」ですが、世界を見ると第1位は心疾患です※1。これだけ多くの人の命を奪う心筋梗塞。概要や症状について、改めて確認しておきましょう。
約半数の人が、何の前触れもなしに心筋梗塞で突然亡くなる
日本における急性心筋梗塞を発症する人数は、年間10〜13万人と推定されています※2。
そのうち、死亡率は7〜9%。以前は、心筋梗塞を発症して48時間以内に死亡してしまう確率が高かったものの、現在ではカテーテル治療など医療技術が進化したこともあり、死亡率は大きく低下しました。
とはいえ、心筋梗塞はいまだ恐ろしい疾患であることに変わりありません。急性心筋梗塞で突然死した患者のうち、男性は50%前後、女性は64%前後に前駆症状(いわゆる前兆)が見られないことがわかっています※3。
「心筋梗塞には前兆がある」と思われがちですが、実際は約半数の人に前兆は起こらず、突然胸の痛みなどの症状に襲われ、そのまま亡くなってしまうのです。
現在、日本人の死因第2位である心筋梗塞は、病院で治療を受けても5〜10%は救命できないとされています※4。そのため、正しい知識を得て、普段からできる予防法を心得ておことが命を救う鍵になります。
心筋梗塞の危険因子、重大なのは「遺伝」と「高脂血症」
心筋梗塞のリスクファクターとしては以下のものが挙げられます。
- 高血圧
- 高脂血症
- 喫煙
- 糖尿病
- 肥満
- 遺伝
- 年齢(男性65歳前後、女性75歳前後が好発)
- 性別(男性が女性の3倍、多発)
これらのうち、特に気をつけなければならないのは「高脂血症」と「遺伝」の組み合わせ。近年の研究により、心筋梗塞には遺伝的素因が認められることがわかっており、血縁者に心筋梗塞既往がある人がいる場合は、発症リスクが高まります。
さらに気をつけたいのが「高脂血症」です。高脂血症にも「家族性高コレステロール血症」という遺伝性の疾患があり、これを発症すると普段からLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が高くなり、若いときから動脈硬化が進んで、心筋梗塞や狭心症などのリスクが高くなります。
日本では現在、300人に1人程度という比較的頻度の高い遺伝性疾患であるため、気づかないうちにその体質を引き継いでいる人も多いでしょう※5。両親のいずれかが心筋梗塞で突然死しており、自分も高脂血症(コレステロール値が高い)と診断されている場合には、心筋梗塞の発症に要注意です。