リスキリングとは?DXで重視される理由と導入効果を高めるポイント (※画像はイメージです/photo AC)

国内外で取り組みが増えつつある「リスキリング」について、DXにおいて重視される理由や、リスキリングの効果を高めるための注意点など解説します。また、現場研修である「OJT」や学び直しである「リカレント教育」との違いも解説します。

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DX推進に注目が集まるにつれ、リスキリングに取り組む企業も増えてきました。

 

リスキリングはうまく進むとメリットが多いものですが、従来の社内研修やスキルアップとは異なる難しさがあります。

 

本記事では、リスキリングと混同されがちな「OJT」「リカレント教育」との違いから、リスキリング成功のための注意点まで解説します。

目次
1. リスキリングとは?定義や混同しやすい用語との違い
1.1. 経済産業省が定義するリスキリング
1.2. リカレント教育との違いは「どこで学ぶか」
1.3. OJTとの違いは「身につけるスキルが現状職場にあるものか」
2. DX時代にリスキリングが重要視される背景
2.1. DX推進に必要な社内スキルや人材の不足
2.2. 岸田首相がリスキリングの官民連携を表明
3. リスキリングに企業で取り組むメリット
3.1. スキル・人材不足を社内に精通した既存社員で解消できる
3.2. 従業員のモチベーションアップにつながる
3.3. 業務効率・生産性の向上に期待ができる
4. リスキリングを導入する方法|4つの手順
4.1. 従業員のスキルを可視化する
4.2. 今後社内に必要なスキル・人材を明確化する
4.3. 身につけてほしい内容の教育コンテンツを選定し、研修を実施する
4.4. 得られたスキルや知識を実践で活用する
5. リスキリングに活用したい|DX人材育成に適した資格3選
5.1. DX人材への入り口として初心者から取り組める【ITパスポート】
5.2. デジタルリテラシーの基礎を学ぶ【IC3(アイシースリー)】
5.3. ITと経営の知識をつけられる【ITコーディネーター】
6. リスキリングに取り組むうえでの注意点
6.1. 社員への理解を求めリスキリングを進める環境を整える
6.2. 学習意欲を尊重し本人が目指す将来像と合った設定にする
7. 国内企業のリスキリングへの取り組み事例
7.1. あおぞら銀行の事例
7.2. 富士通の事例
7.3. トラスコ中山の事例
まとめ

1. リスキリングとは?定義や混同しやすい用語との違い

リスキリングとは?定義や混同しやすい用語との違い
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

まずは「リスキリング」という言葉そのものの意味を確認しておきましょう。

 

1.1. 経済産業省が定義するリスキリング

経済産業省が公開している資料のなかで、リスキリングは以下のように定義されています。

 

新しい職業に就くために、あるいは、いまの職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること

引用元:経済産業省 リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―

 

キャリアアップやキャリアチェンジ、特にDXなどにおいて、ITスキルと関連づけて使われがちですが、リスキリングの言葉自体はIT分野に限定されていません。

 

一方で「いまの職業で必要とされるスキル」としては、テレワークなどデジタル技術を利用した働き方の変化やビジネスの変化などからIT関連スキルが挙げられます。

 

そのため、デジタルIT関連スキルの獲得という意味合いで、リスキリングという言葉が使われる傾向にあります。

 

1.2. リカレント教育との違いは「どこで学ぶか」

リスキリングと混同されがちな言葉として「リカレント教育」があります。「学び直し」という意味合いがありますが、2つは意味がまったく異なります。

 

まずリスキリング(Re-Skilling)は「再びスキルを得る」という意味です。

 

これに対して「リカレント(re-current)」には「再発」「頻繁に起こる」という意味があります。転じて「再び学習する」「学び直す」という意味で使われています。

 

またリカレント教育とリスキリングの最も大きな違いは「学ぶ場所」です。

 

リスキリングは、会社が人材の価値を向上させるため、ひいてはそのスキルを有する人材によって企業に貢献してもらうために実施するものです。

 

出向などを伴うこともありますが、基本的には会社に在籍した状態で行われます。

 

対してリカレント教育には会社は直接的には関与しません。福利厚生の一環として社員の大学入学を支援する制度もありますが、あくまで福利厚生です。

 

1.3. OJTとの違いは「身につけるスキルが現状職場にあるものか」

OJTは「On the Job Training」の略称で「現場で実際に仕事に携わりながら覚える研修」のことです。

 

つまりOJTでは「現在社内に存在するスキルや知識」を学びます。上司や先輩などから教わることで習得が可能です。

 

これに対して、リスキリングで学ぶものは「現在社内にないスキルや知識」です。

 

この違いを経済産業省では「OJTは連続系」「リスキリングは非連続系」と表現しています。

2. DX時代にリスキリングが重要視される背景

DX時代にリスキリングが重要視される背景
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

リスキリングはDXへの注目の高まりに伴って重要性が認識されるようになりました。この背景には、マーケットや社会、求める人材の変化などがあります。

 

2.1. DX推進に必要な社内スキルや人材の不足

DXを推進するためには、デジタルに強いだけでなく社風やビジネス領域を理解した人材が不可欠です。

 

もちろん社外から適した人材を確保することも解決策の1つですが、そのような人材は数が少ないうえ、自社にマッチするかどうかなどスキル以外の懸念点もあります。

 

リスキリングによって社内にいる人材を「DX人材」に育てることができれば、外部から招く必要はありません。

 

また社内のことを知っているので、部門間の調整も行いやすく、他の従業員とのコミュニケーションも比較的容易に行えるでしょう。

 

2.2. 岸田首相がリスキリングの官民連携を表明

2022年10月に、岸田首相は「新たな経済政策」を打ち出しました。このなかで人材関連政策への投資額を今後5年間で1兆円に拡充することを盛り込んでいます。

 

特にリスキリングについては、転職までを一気通貫で支援する制度の創設や、企業への支援金の増設などが予定されています。

 

これらの支援は、社会全体の賃上げや国際社会における日本企業の競争力向上を目指したものです。

 

そのために人材流動性の向上も重視されており、基本指針を2023年6月までにとりまとめることを表明しています。

3. リスキリングに企業で取り組むメリット

リスキリングに企業で取り組むメリット
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

実際にリスキリングに取り組むことで、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

 

3.1. スキル・人材不足を社内に精通した既存社員で解消できる

外部から人材を新たに採用した場合、スキルは充足できますが社員とのコミュニケーションや社風とのミスマッチが懸念されます。

 

とくにITやデジタルといった分野が社内に浸透していない場合、外部から来た「デジタルに強い人」が持つ感覚と既存社員との感覚が一致せず、双方ともにストレスになりかねません。

 

リスキリングによるIT人材育成なら既存社員とのズレも起きにくく、社内全体のITスキル底上げにつながりやすいでしょう。

 

3.2. 従業員のモチベーションアップにつながる

米大手メディア企業「AT&T社」では、2013年からリスキリングプログラムを開始。結果、リスキリングに取り組んだ社員の離職率はそうでない社員の1.6倍低くなりました。

 

リスキリングはこれまで社内にない知識やスキルを学ぶことなので、業務にマンネリを感じていた従業員が取り組むことで業務にメリハリが生まれます。

 

またスキルアップや会社への貢献を実感することで、仕事へのやりがいもアップします。

 

3.3. 業務効率・生産性の向上に期待ができる

リスキリングを行うことで、それまで従業員が培ってきた現場の知識やスキルとデジタルスキルとを融合させることができます。

 

業務改善コンサルタントなど社外の人間と異なり現場の実態を知っているため、無理や無駄のない業務効率化につなげることが可能です。

 

またリスキリングした人材を業務管理者などのポジションに置くことで、他部署との連携も取りやすくなり、社内全体での生産性向上も期待できるでしょう。

4. リスキリングを導入する方法|4つの手順

リスキリングを導入する方法|4つの手順

従業員にリスキリングを命令するだけではうまくはいきません。成功させるためのステップを紹介します。

 

4.1. 従業員のスキルを可視化する

まずは、いまいる従業員のスキルを把握しましょう。誰がどんなスキルを持っているのかを整理しないと、リスキリングの内容を決めることもできません。

 

もしかしたら業務で使っていないだけで、必要なスキルをすでに持っているということもあり得ます。

 

また同時に、保有しているスキルだけでなく本人の適性や働き方の指向も把握できるとよいでしょう。

 

従業員ごとに目指すキャリアは異なります。最終的には全社的なスキルの底上げをしたいという場合であっても、それぞれの指向や適性に合わせたリスキリングを行うことで効果を出しやすくなります。

 

4.2. 今後社内に必要なスキル・人材を明確化する

現状把握ができたら、今後必要なスキルや人材を明確にしていきましょう。

 

不足しているスキルを整理し、誰にどのスキルを身に付けてもらうのかを検討します。

 

できれば本人の意向も踏まえ「このスキルを身につけてどういう風に活躍してほしいか」といった、リスキリングの先の姿も合わせて検討するとよいでしょう。

 

キャリアプランの道筋を示すことで、本人のモチベーション向上につなげられます。

 

4.3. 身につけてほしい内容の教育コンテンツを選定し、研修を実施する

リスキリングの内容が決まったら、実際に研修などでスキルを習得していきます。

 

研修プログラムは必ずしも社内で用意しなければならないわけではありません。必要に応じて社外の研修サービスを利用したり、社外から講師を招いたりしましょう。

 

また、新しいスキルは一度研修を受けたからといって、すぐに身につくものではありません。

 

リスキリングを達成するにはある程度の時間がかかります。その間、取り組む従業員のモチベーションを維持できるよう、達成度の管理などのフォローを行いましょう。

 

4.4. 得られたスキルや知識を実践で活用する

研修等で習得したスキルや知識は、業務のなかで活用することが重要です。

 

活用ができないと、なぜリスキリングに取り組んだのかがわからず、本人だけでなく周囲にもよい影響がありません。

 

ただし社内になかったスキルなので、社内ですぐに完璧に活用できるものではありません。

 

まずは特定の部門や特定の業務で取り入れ、うまくいかないところは改善しながら段階を踏んで社内に浸透させていきましょう。

5. リスキリングに活用したい|DX人材育成に適した資格3選

リスキリングに活用したい|DX人材育成に適した資格3選
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

リスキリングの際に資格取得を目標とすると、到達点がわかりやすくなります。

 

DX人材というとプログラミングというイメージがありますが、実はごく一部の分野にすぎません。ここでは非技術者向けの資格を中心に、役立つ資格を紹介します。

 

5.1. DX人材への入り口として初心者から取り組める【ITパスポート】

ITやデジタルといった分野に苦手意識がある人でも取り組みやすく、またどの業種や職種でも役立つのが「ITパスポート」です。プログラムを書くことはありません。

 

情報システムだけでなく、経営理論や法務など出題範囲は幅広いものの、独学でも取得が可能です。ITパスポートの勉強をすれば、ITに関する基本的な知識を一通り習得することができます。

 

製造業や営業、人事などIT分野以外の取得者も多く、国家資格でありながら合格率の高い資格です。

 

  • 試験頻度:毎月
  • 合格率:約50%
  • 受験料:7,500円

 

5.2. デジタルリテラシーの基礎を学ぶ【IC3(アイシースリー)】

デジタルリテラシーの基本を身につけたいなら「IC3(アイシースリー)」という資格があります。

 

IC3は「コンピュータとインターネットに関する基礎知識とスキルを総合的に証明する」国際資格です。業務だけでなく普段の生活でインターネットを使うときにも役立つでしょう。

 

試験は平日であればほぼ毎日行われており、試験会場へ行ってオンラインで受験すればその場で合否がわかります。

 

企業の団体受験も可能で、研修支援など学習がスムーズに進むようサポートも行われています。

 

  • 試験頻度:ほぼ毎日(土日祝日除く)
  • 合格率:非公開
  • 受験費用:5,500円(1科目受験の場合)

 

5.3. ITと経営の知識をつけられる【ITコーディネーター】

ITの知識と合わせて経営の知識を身につけられるのが「ITコーディネーター」です。

 

DXの推進など、いまやIT技術は事業経営と不可分のものとなっています。そのような時代のニーズに応える形で、ITと経営を融合し企業のIT化を支援できる専門家を育成するためにITコーディネーターの資格が創設されました。

 

民間資格ではあるものの経済産業省が取得を推進しており、毎月100名以上が試験に合格しています。

 

ITコーディネーターの認定を受けるには、試験の合格と「ケース研修」という研修プログラムを修了することが必要です。

 

  • 受験頻度:年3回(各1ヵ月程度の期間内で随時受験可能)
  • 合格率:60〜70%
  • 受験費用:19,800円

 

6. リスキリングに取り組むうえでの注意点

リスキリングに取り組むうえでの注意点
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

リスキリングに取り組む際の注意点を2つ解説します。ポイントを踏まえて実施することで、リスキリングの成功に近づきます。

 

6.1. 社員への理解を求めリスキリングを進める環境を整える

リスキリングは現在の業務とは異なるスキルを学ぶものです。すぐに業務に直結するものではないため、現場の従業員にその必要性をすぐに理解してもらうのは容易ではありません。

 

取り組む従業員に目的をしっかりと伝え、納得してもらうことが必要です。

 

また本人の理解やモチベーションだけでなく、スキル習得に向けた環境整備も重要です。

 

研修に参加すると、普段の業務に割く時間は減ってしまいます。本人の業務量を調整することはもちろんですが、研修に参加しない従業員などにもリスキリングの重要性を共有し、社内全体でリスキリングに取り組みやすい空気を作ることが重要です。

 

6.2. 学習意欲を尊重し本人が目指す将来像と合った設定にする

リスキリングの成功のためには、取り組む本人の学習意欲が必要不可欠です。

 

期待している従業員や、業務成績のよい従業員にリスキリングをしたいと思うかもしれません。しかしそういった人のなかには「同じ業務を続けてプロフェッショナル性を高めていきたい」と考える人もいるでしょう。

 

会社からの業務命令としてリスキリングの対象者を選ぶのではなく、1対1の面談や申告制で希望を募るなどして本人の目指す将来像とマッチさせることが重要です。

7. 国内企業のリスキリングへの取り組み事例

国内企業のリスキリングへの取り組み事例
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

最後に、国内の企業でリスキリングの効果が出ている事例を紹介します。自社で取り組む際のヒントになるはずです。

 

7.1. あおぞら銀行の事例

あおぞら銀行は以前から銀行アプリの提供や在宅勤務などITの活用に力を入れていました。2021年からはグループの全社員を対象にリスキリングに取り組んでいます。

 

この取り組みでは、まず全社員を対象にデジタルへの関心度に関する調査を実施。そのあと「全社員」「希望者向け」「管理職、経営層向け」のそれぞれのコースを用意し、個人の希望に応じてスキル取得の支援を行いました。

 

全社員向けのコースではITリテラシーの向上を、希望者向けコースではAI活用やデータサイエンスなど専門的なスキルの習得を通しDX人材の育成を図っています。

 

7.2. 富士通の事例

富士通は、2022年にDX企業への変革を加速させるための新たな人材施策を公表しました。この施策のなかには、以下のような内容が盛り込まれています。

 

  • 営業職を対象とした「ビジネスプロデューサー」へのスキルアップ、スキルチェンジ
  • 社内公募によるグループ内の異動、再配置
  • 幹部社員を対象とした社外でのキャリアチェンジ支援

 

このうち異動や再配置、またキャリアチェンジ支援については2022年以前からも行われており、合計で3,000人が制度を利用しました。

 

7.3. トラスコ中山の事例

トラスコ中山は2000年代から業務のデジタル化にいち早く着手し、2020年と2021年には東京証券取引所の「DX銘柄」に選出されました。

 

DX銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が、東証上場企業のなかからDX推進により優れた実績が出ている企業として選出するものです。

 

同社が行っている特徴的な研修の1つが、社外ベンダーと共同で行う勉強会です。この勉強会では新たなビジネスの創出がテーマとなっており、実際に新規事業としてスタートすることもあります。

 

また地域や年代によるデジタル技術への理解の差を解消するため、各支店にDXのスキルや知識を習得した社員を配置。社員全員がデジタル技術を活用できるようにサポートしています。

まとめ

リスキリングについて、リカレント教育やOJTとの違い、取り組む際のポイント等を解説しました。

 

  • リスキリングは「社内にないスキル」を学ぶもの
  • DX推進にリスキリングは有効
  • リスキリングには生産性向上や人材確保などのメリットが多い
  • リスキリングを成功させるには従業員の意欲が大事

 

デジタル技術活用に向け、リスキリングに取り組む企業は増えています。ポイントを押さえた取り組みで、リスキリングを成功させましょう。

 

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