(※写真はイメージです/PIXTA)

資産運用には、主な株式投資や不動産投資のほか、企業が発行する「債券」を購入するという方法があります。前述の投資とは特性の異なる「債券」をポートフォリオに組み込むことで、資産運用のリスクを軽減する作用が期待できます。本記事では、「債券」について具体的事例を交えて、資産コンサルティング業務の専門家である田邊陽吉氏が解説します。

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    市場の動きに一喜一憂する必要のない「債券」

    「債券」の2つ目の魅力は、満期が決まっている点である。「債券」には満期というものがあり、もっている間にどれだけ変動したとしても、企業が潰れない限りは、満期時に元本が返ってくる仕組みなのだ。

     

    これは安定した資産運用を目指すうえで非常に重要な要素である。出口が決まってるということは、心理的な安心材料となるのだ。もちろん途中売却という選択もできるが、満期までもち続ければ元本が必ず返ってくるため、運用計画が立てやすいよいう、投資家にっとって大きなメリットがある。

     

    株式や投資信託のように売るタイミングを逃し、下落したまま塩漬けになってしまうという心配がない。人間は運用において、なかなか合理的な判断ができない傾向にある。「あの時、売っておけばよかった…」と後悔するケースは、頻繁に散見される。

     

    その点、購入時点で満期が決まっている「債券」は、相場が上がるか下がるかに一喜一憂するこなくもつことができるという、特徴がある。

    「退職金と預貯金をできるだけ減らさず運用したい」

    ここまで「債券」の仕組みについて述べてきたが、実際どういった方に「債券」での資産運用が適しているか? 実際の事例をもとにご紹介したい。それはずばり「まとまった金額で、できるだけ減らさずに運用したい方」である。

     

    冒頭に紹介したお客様はまさに、退職後に給与所得がなくなることを懸念して「退職金と預貯金をできるだけ減らさないよう、安定的に運用したい」と希望していた。そういった方には、ぜひ「債券」での運用をお勧めする。

     

    例えば、利率3%のA社の社債を3,000万円もっていると、年間90万円(税引き前)の利金収入を得ることができる。退職後は公的年金や、企業年金、年金保険などが収入の柱となるケースが多いが、「債券」をもつことによって、収入の柱をもう一つ作ることができるのだ。

     

    なおかつ満期があるため、満期までに企業がつぶれなければ、資産が大きく減ってしまう心配もない。安心して、お金にお金を生み出してもらうことができるのだ。

     

    この仕事に従事しているなかで、日々つくづく痛感することがある。それは「マーケットを完璧に予想することはできない」ということである。新型コロナウイルスの流行、ロシアのウクライナ侵攻、はたまたリーマンショックなど…すべてを予想できていた人がどれほどいるだろうか。

     

    予想だにしない大きな問題が起こるたびに、マーケットは大きく変動する。リーマンショックの際にはS&P500は50%以上、大幅に下落した。その時に運用資産をすべてS&P500に費やしていたとしたら、運用資産は半値以下になっているということである。

     

    もちろん長い目で見れば、世界経済は右肩上がりに成長するため、短期的な下落は取り戻せるかもしれない。しかし、運用資金が少額ではなく、ある程度まとまった金額の預貯金である場合、そうも言ってられない。長年汗水垂らして働いて手に入れた退職金が、半値になってしまうことに、耐えがたい苦痛を感じる人は少なくないのだ。

     

    そのため、まとまった資金の運用においては、一部は「債券」でもち、相場がどう変動しようとも、安心して運用できるようにするべきだと考える。もちろんなかには、余剰資金すべてを「債券」でもつのは面白くないという方もいらっしゃる。

     

    そういった方には、「債券」で入ってきた利金を株式に再投資していきましょうという提案をさせていただいてる。元々あるはずのなかった「債券」の利金であれば、もし株式のリスクを負ったとしても問題なく運用できるはずだ。そうすることで、リスクを抑えつつ、効率よく複利運用をすることができるのだ。

     

    結論として、さまざまな金融商品のなかから、自分のライフプランや目的に一番合ったものを選ぶのが重要である。今回の記事を読んでくださった方の運用の選択肢が、少しでも広がると嬉しい。

     

    田邉 陽吉

    Japan Asset Management アドバイザー

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