妻も働き、厚生年金に加入したほうが安心
サラリーマンの専業主婦(サラリーウーマンの専業主夫も同様)が働くことは、収入が増えるということのみならず、保険としても非常に重要です。サラリーマンが失業したり死別したり離婚したりするリスクを考えると、専業主婦が自分で稼いで収入を得られるようになっていることが非常に大きな安心につながるわけです。
働いて稼いだ分を老後のために貯めておけば老後の生活が安泰になりますし、さらによいのは厚生年金に加入できるような働き方をしておくと、老後に厚生年金が受け取れるわけです。
女性は平均寿命が長いので、厚生年金が受け取れるのは大変助かるはずです。ちなみに、厚生年金の加入要件は若干複雑ですので、勤務先に確認しておきましょう。
老後資金は「預金・株・外貨」に分散して保有する
老後資金を全額銀行預金で持っているという人は多いのですが、銀行預金はインフレに弱いリスク資産なので、インフレに強い資産も持っておくと安心です。
株式や外貨は値下がりリスクがあるから持ちたくない、という人も多いのですが、一方でインフレに強いので、預金と株式と外貨というリスク資産を3つとも持てば、最悪の事態は避けられるでしょう。
ちなみに株がインフレに強いのは、インフレになると企業の売り上げもコストも利益も増えるからです。外貨がインフレに強いのは、インフレになると海外製品が安く感じられて輸入が増えるので、輸入のためにドルを買う人が増えるからです。
インフレなど来ない、と思っている人も多いようですが、筆者は二つの心配をしています。一つは、少子高齢化で労働力不足となり、賃金が上がってインフレになる可能性です。もう一つは、南海トラフ大地震が来て復興資材も食料もすべての物が大幅に値上がりする可能性です。
南海トラフ大地震によって超インフレが来れば、地震保険に加入していて保険金が受け取れたとしても、家も建てられませんし生活費としても足りないかもしれません。外貨を持っていれば、外国から建築資材や食料を輸入することができるわけですから、もしかすると外貨を持っておくことは、大地震への備えとしては保険以上に保険なのかもしれませんよ。
なお、分散投資に関しては、前回の拙稿『「預貯金ゼロの人」だけじゃない…〈銀行預金=安全〉と信じる人にも潜む、老後破産のリスク』をあわせてご参照いただければ幸いです。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等々の見解ではありません。また、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。
塚崎 公義
経済評論家
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】