「リスクへの備え→保険会社との契約」が意味するもの
リスクを避ける、と聞くと保険に加入することを考える人は多いでしょう。もちろん、保険に加入することもリスクを避ける手段のひとつですが、それだけではありません。
保険というのは「酷い目に遭ったときに悲惨な自分を救ってくれるもの」です。何事もなければ保険料は無駄になるわけですが、それでも何かあったときのために加入するわけですね。
もっとも、保険会社と契約する以外にも、同様の行為は数多く考えられます。たとえば家屋の耐震補強も同じことですね。地震が来なければ耐震補強の費用は無駄だったことになりますが、地震が来たときには大いに助かる、というわけですから。そこで、耐震補強以外にも同様の働きをするものを色々と用意しておけばよいわけです。
世間がなんと言おうと…最高の備えは「公的年金」
老後資金のリスクといえば、長生きをしている間にインフレが来て生活費がかさみ、老後のために蓄えた資金が底を突いてしまうことですね。長生きはいいことなのですが、老後資金のことだけを考えれば、リスクなのです。インフレがリスクなのは、生活費が増えるわけですから当然ですね。
ところが、公的年金は、どんなに長生きしても最後まで支払われますし、インフレになれば原則としてその分だけ毎回の支給額が増えていきますから、長生きとインフレのリスクに備えるには最高の心強い存在なのです。
少子高齢化によって年金の受取額が少しずつ減ってくるといわれていますが、年金が受け取れなくなるわけではありませんし、多少減っても極めて心強い存在であることは間違いありません。
したがって、できるかぎり公的年金は大切にすべきです。サラリーマンは受け取り開始時期を遅らせる等の工夫をするほか、配偶者も厚生年金に加入する(後述)ことが望ましいでしょう。自営業者等は、年金保険料の払い漏れがないように気をつける、等々の対策をしっかりとりましょう。
「年金保険料を払ったところで、早死にしてしまえば年金がもらえないのだから払いたくない」という人がいますが、そんな人でも火災保険にはシッカリ入っているようです。「火事にならなかったら、火災保険の保険料がもったいない」とは考えないのに、年金についての見解が違うのはなぜでしょうね(笑)。
老後の借家住まいは不安、できれば自宅購入を
現役時代に自宅に住むべきか借家に住むべきか、という論争は頻繁に目にします。本稿はそれについては論じませんが、筆者は、老後は借家よりも自宅に住むべきだと思います。
長生きしている間にインフレがくると、生活費がかさむだけでも大変なのに、長期間にわたって家賃を払い続けなければならず、しかもそれがインフレで値上がりしていくようなことがあれば大変ですから。