(※写真はイメージです/PIXTA)

政府が国民への自発的な資産形成を促すために用意した制度「NISA」と「iDeCo」ですが、これには税制上の優遇措置が設けられています。一見しただけではわかりにくいかもしれませんが、さまざまなメリットがあるため、ぜひ最大限活用してみましょう。具体的な内容と留意点について、経済評論家の塚崎公義氏が平易に解説します。

NISAとiDeCoは税制優遇措置だから利用しよう

政府が「貯蓄から投資へ」「貯蓄から資産形成へ」という掛け声のもと、NISAとiDeCoという税制上の優遇措置を設けています。だいぶん周知されてきましたが、まだ活用していない方も多いようです。しかし、せっかくの優遇措置、活用しないのはもったいないというもの。制度を理解し、しっかりメリットを享受しましょう。

 

【NISA】カンタン&気楽に税制上の優遇が受けられる!

NISAは、誰でも気楽に使える税制上の投資優遇措置です。銀行か証券会社にNISAの口座を開設し、限度枠内の金額を投資すれば、配当や値上がり益が非課税になります。

 

1人1口座だけなので、ほかの金融機関にNISA口座を開設している場合は新しくNISA口座を開設することはできませんが、それ以外には特段面倒なことはありません。少しでも投資に興味があるならば、ぜひ、NISAの活用を前向きに検討しましょう。

 

一般のNISAは毎年の投資限度額が120万円で期間が5年ですから、合計600万円まで非課税で運用できます。つみたてNISAは毎年40万円まで投資でき、期間が20年間ですから、合計800万円まで非課税で運用できます。

 

これから老後に備えて蓄えようという人はつみたてNISAを、すでに多額の老後資金を貯めていて資産運用にも積極的な人はNISAを、それぞれ使うといいと思います。

 

ただし、制度変更があったりするので、細かいことはその都度金融機関に問い合わせるとよいでしょう。

 

【iDeCo】掛け金が所得控除になるなど、メリット大!

NISAと並び、iDeCoも投資優遇税制として重要です。こちらはNISAと異なり、掛け金が所得控除になるので、勤務先に書類を出す必要があるなど手続き的には面倒ですが、メリットも大きなものがあります。

 

NISAと同様に、配当や値上がり益が非課税になるほか、NISAとは異なり、掛け金が所得控除となりますから、NISAよりもさらにお得な制度だといえるでしょう。細部についての詳述はここでは避けますが、興味のある方はぜひ調べてみることをお勧めします。

 

ちなみに、株などへの投資は怖くて嫌だ、という場合もiDeCoは役に立ちます。投資せずに定期預金をするだけでも、所得控除の対象になるからです。その意味では、投資優遇税制というのみならず、貯蓄優遇税制という意味合いもあるわけですね。

60歳まで引き出せないという「政府の親心」に感謝

iDeCoは60歳まで引き出せません。単なる投資ではなく、老後の年金だから、ということなのですが、これは留意点でもあり、メリットでもあるのです。

 

途中で引き出せないということは、当座の資金が必要になっても引き出せないわけですから、そのことは十分理解したうえで掛け金を決める必要があるわけです。

 

一方で、意思が弱くて老後資金を貯めているつもりでも使ってしまう、ということを政府が防いでくれるわけですから、その意味ではありがたい制度だ、ともいえるでしょう。筆者はこれを、政府の親心だと理解しています。

 

まあ、本当に親切心なのか、老後に貯金が貯まっていなくて生活保護を申請してくる人が増えると困るから、という理由なのかは知りませんが(笑)。

掛け金の上限が決まっている点に注意

NISAにも上限がありますが、iDeCoにも掛け金の上限が決まっています。もともとは「自営業者は厚生年金に加入できないので、iDeCoの制度を作ってあげよう」という趣旨だったようで、自営業者には比較的手厚いのですが、サラリーマン等々は掛け金の上限が少ないのが難点です。

 

細部は省略しますが、毎月1万円から2万円といったイメージですね。若い人が何十年もかけて老後資金を貯めるという場合には十分かもしれませんが、すでにある程度の金融資産を持っている人にとっては不足でしょう。そのあたりは、iDeCoの枠が足りない分はNISAを活用する、といったことも要検討ですね。

 

それから、年金なので、年齢制限があります。原則として60歳までしか積み立てることができないのです。この10月からは法改正によって、一部の人は65歳まで積み立てることが可能となりましたが、それ以上の高齢者には使えない制度なので、筆者は残念ながら使えていません(泣)。

 

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