(※写真はイメージです/PIXTA)

コンサルタントである松本繁治氏の著書『壊れたニッポンを治す為の21の処方箋』より一部を抜粋・再編集し、「一億総中流」から一転してしまった日本の現在を見ていきます。

「金銭的事情で大学進学を諦める」という異常事態

一億総中流の頃は、子供を持つ多くの家庭が子供を大学や専門学校に行かせる事ができた。少なくとも筆者の高校の同級生の中で、金銭的事情から大学進学を諦めた同級生は殆ど居なかった。

 

一部に私立大学はムリだけど、国公立であれば大丈夫と云う家庭もあったが、ほぼ全員が進学希望であった。現在を考えると信じられないくらい、学生にとっては恵まれた時代であった。

 

しかし現在の社会は、個人の収入が伸びないだけでなく多くの貧困家庭を生んでおり、その結果、大学等の高等教育への進学を諦めているケースが目立ってきている。また金銭的理由から、高校を中退する生徒も少なからず居る。この様な状況を、社会または国家が野放しにしているのは異常である。

 

日本人は昔から子供の教育費を惜しまなかったが、今はそれができない程収入が減ってきている。現在の日本では、親の経済状況によって子供の教育レベルが決まってしまい、教育格差が広まってきている。そしてこの教育格差が収入格差に繋がり、その子供にも波及する教育格差の世襲が起こっており、大きな社会問題となっている。

 

基本的には全ての子供が平等に教育を受けられる機会があるべきであるが、現在の日本ではその仕組みができていない。

 

因みにアメリカでも日本より先に教育格差が進んだが、その原因は日本とはちょっと違っている。アメリカでは大学の授業料が1980年代から高騰してきた。自分が学生だった頃は、安い州での州立大学の授業料が年間数万円だったのが、その後年間100万円以上必要になった事が原因である。

 

一方日本の場合は低収入の家庭が増えた事が大きな原因である。またアメリカでは低収入の家庭の子息向けに、授業料が低い州立大学等が少なからずある事も、日本とは大きな違いがある。この様に大学に行きたくても行けない学生が増えている事は、是非とも解決すべきである。

 

これを解決する手段には、社会人の収入の適正化、または授業料の低額化や奨学金等の授業料の支援制度の拡充等がある。

 

 

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松本 繁治

ルイジアナ州立大学工学部卒、同大学大学院中退。

日米の製造メーカに勤務後、外資系IT企業や外資系コンサルティング企業にてコンサルタントとして10年以上の活動を行う。一時期、家業である製造メーカで経営を支援。

2009年以降は独立してコンサルティング活動を継続中。

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『壊れたニッポンを治す為の21の処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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