DX投資促進税制の適用要件
DX投資促進税制の対象となる事業者は、青色申告書を提出する法人で、認定を受けた事業者です。
認定を受けるには、「デジタル要件(D要件)」「企業変革要件(X要件)」をいずれもみたす必要があります。以下、それぞれについて説明します。
◆デジタル要件(D要件)
デジタル要件は以下の通りです。
・データ連携・共有
・クラウド技術の活用
・情報処理推進機構(IPA)の「DX認定」
「データ連携・共有」は、以下のデータと既存の内部データとを合わせて連携し、有効活用することをさします。
・グループ内外の事業者・個人の有するデータ
・センサー等を利用して新たに取得するデータ
これらを行うために、「クラウド技術の活用」を行わなければならないということです。
また、「情報処理推進機構(IPA)の『DX認定』」は、「レガシー回避」と、サイバーセキュリティの確保の見地から要求されています。「レガシー」とは、過去の技術で構築されている機動性・汎用性に欠けたシステムをさします。外部とのデータの連携・共有をする場合にそういったものが阻害要因になるので、回避しなければならないということです。
◆企業変革要件(X要件)
次に、企業変革要件(X要件)の主なものは以下の通りです。
1. 計画の実施期間が5年以内であること
2. 全社の意思決定に基づくこと
3. 一定以上の生産性向上等の効果が見込まれること
4. 財務の健全性
5. 前向きな取り組みを行うこと
【X要件1】計画の実施期間が5年以内であること
情報技術事業適応に関する計画(事業適応計画)の実施期間が5年以内であることが必要です。
【X要件2】全社の意思決定
「全社の意思決定」は、一部門・一事業拠点でなく、組織全体としての意思決定でなければならないということです。株式会社であれば、取締役会決議あるいはこれに準じるものです。
たとえば、オーナー企業で取締役会を設置していない場合は、株主総会決議が必要となると考えられます。
【X要件3】一定以上の生産性向上等の効果が見込まれること
「一定以上の生産性向上等の効果が見込まれること」については、以下のいずれかが見込まれることが必要です。
・生産性向上:総資産利益率(ROA)が2014年~2018年の平均より+1.5%ポイント以上向上
・新需要の開拓:売上高伸び率が過去5年度の業種売上高伸び率より+5%以上向上
【X要件4】財務の健全性
「財務の健全性」とは、計画の終了年度において以下の2つの数値の達成が見込まれることです。
・有利子負債/CF≦10
・経常収入>経常支出
【X要件5】前向きな取り組み
「前向きな取り組み」は、以下(1)~(3)のいずれかの類型に応じ、それぞれの指標をみたすための取り組みを行うことをさします。
(1)新商品、新サービスの生産・提供⇒投資額に対する新商品等の収益の割合が10倍以上
(2)商品の新生産方式の導入・設備の能率の向上⇒商品等1単位当たりの製造原価等を8.8%以上削減
(3)商品の新販売方式の導入・サービスの新提供方式の導入⇒商品等1単位当たりの販売費等を8.8%以上削減