(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの症状の一つとして、「味覚障害」がよく取り上げられてきました。最近では特に、10代・20代という若い世代でも味覚障害を訴える人が増えていると言います。今回は、これまで20年以上に渡り人々の口内を見続け、海外でも診療をしてきた馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック院長・木村至信医師に、「味覚障害」はなぜ起こるのか、どんな弊害があるのか、また治療法などについて詳しく解説いただきます。

食べるときに気を付けたいこと

旬の物は栄養価が高く、普段よりも比較的安価で野菜であれば甘味が増していたり、魚であれば脂がのっています。こういった食材への知識を深め、食材が持つ本来のおいしさを味わうことも重要です。

 

旬の食材を使えば、経済的な負荷も少しは取り除けそうですね。私が患者さんにお勧めしている味覚の鍛え方はこんな感じです。

 

①「旨み」のあるものをとり入れる

 

旨みの多い食品:昆布、緑茶、のり、魚介類、肉、野菜、 きのこ等

 

旨みは、人がおいしいと感じる要素の1つです。出汁にこだわるのは味覚を鍛える基本です。旨みは複数の食材を組み合わせるとより強く感じます。合わせだしがオススメです。

 

② ゆっくりよくかんで食べる

 

よくかむと味物質が唾液に抽出され、この物質が味細胞に到達することで、味を感じます。特に旨みは他の味よりも唾液の分泌を促し、味の感受性を高めます。少ない量でも満腹感を味わえるので、糖尿など食事制限が必要な方にもお勧めです。

 

③ いろいろな味を意識して食べる

 

食べる時に、5つの基本の味(甘味、酸味、塩味、苦味、旨み)のうち、どの味を含んでいるのかを考えながら食べてみましょう。これを続けると、単純な味ではもの足りないと感じるようになります。味が濃いと邪魔になると感じるようにもなります。味覚の感受性が高まると、食事の満足度も上がります。

 

塩分抑えめで、旬の食材そのものの味を楽しみ、生活習慣病を予防できます。

味覚は鍛えられる!

とはいえ、例えば私が食事を作って、食卓に出して、いちいちこれは何味だとか吟味ばかりされていたら、ものすごくめんどくさい人だなと感じます。また、働く女性が増えてきましたし、お惣菜を買ってきて、時間の使い方を調整した食事を提供することもあるでしょう。美食家だって、時にお家でお茶をかけて梅干しでお茶漬けが美味しい! と感じる瞬間もあります。

 

必要なのは、メリハリです。1日1食、味覚を鍛えるご飯にしてみませんか? さらには食事に感謝をする、作った人に感謝をする瞬間を持って、ゆったりと食事をすることが、自律神経の安定、そして味覚を鍛えることにもつながるのではないでしょうか。お金がないからいつもおにぎりとカップ麺…。時にはそんな時期もあってよいものですが、他に使うお金を、健康的な食事のために使うことも将来への自分の投資であり、50代を過ぎてからの自分にいつか感謝されると思います。

 

 

木村 至信

馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック 院長

 

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