食べるときに気を付けたいこと
旬の物は栄養価が高く、普段よりも比較的安価で野菜であれば甘味が増していたり、魚であれば脂がのっています。こういった食材への知識を深め、食材が持つ本来のおいしさを味わうことも重要です。
旬の食材を使えば、経済的な負荷も少しは取り除けそうですね。私が患者さんにお勧めしている味覚の鍛え方はこんな感じです。
①「旨み」のあるものをとり入れる
旨みの多い食品:昆布、緑茶、のり、魚介類、肉、野菜、 きのこ等
旨みは、人がおいしいと感じる要素の1つです。出汁にこだわるのは味覚を鍛える基本です。旨みは複数の食材を組み合わせるとより強く感じます。合わせだしがオススメです。
② ゆっくりよくかんで食べる
よくかむと味物質が唾液に抽出され、この物質が味細胞に到達することで、味を感じます。特に旨みは他の味よりも唾液の分泌を促し、味の感受性を高めます。少ない量でも満腹感を味わえるので、糖尿など食事制限が必要な方にもお勧めです。
③ いろいろな味を意識して食べる
食べる時に、5つの基本の味(甘味、酸味、塩味、苦味、旨み)のうち、どの味を含んでいるのかを考えながら食べてみましょう。これを続けると、単純な味ではもの足りないと感じるようになります。味が濃いと邪魔になると感じるようにもなります。味覚の感受性が高まると、食事の満足度も上がります。
塩分抑えめで、旬の食材そのものの味を楽しみ、生活習慣病を予防できます。
味覚は鍛えられる!
とはいえ、例えば私が食事を作って、食卓に出して、いちいちこれは何味だとか吟味ばかりされていたら、ものすごくめんどくさい人だなと感じます。また、働く女性が増えてきましたし、お惣菜を買ってきて、時間の使い方を調整した食事を提供することもあるでしょう。美食家だって、時にお家でお茶をかけて梅干しでお茶漬けが美味しい! と感じる瞬間もあります。
必要なのは、メリハリです。1日1食、味覚を鍛えるご飯にしてみませんか? さらには食事に感謝をする、作った人に感謝をする瞬間を持って、ゆったりと食事をすることが、自律神経の安定、そして味覚を鍛えることにもつながるのではないでしょうか。お金がないからいつもおにぎりとカップ麺…。時にはそんな時期もあってよいものですが、他に使うお金を、健康的な食事のために使うことも将来への自分の投資であり、50代を過ぎてからの自分にいつか感謝されると思います。
木村 至信
馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック 院長