(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスの症状の一つとして、「味覚障害」がよく取り上げられてきました。最近では特に、10代・20代という若い世代でも味覚障害を訴える人が増えていると言います。今回は、これまで20年以上に渡り人々の口内を見続け、海外でも診療をしてきた馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック院長・木村至信医師に、「味覚障害」はなぜ起こるのか、どんな弊害があるのか、また治療法などについて詳しく解説いただきます。

神経になんらかの異常が生じている可能性

味覚の刺激を伝えるのは幾つかの神経です。味覚の支配神経は下記のように分かれています。

 

  • 舌の前2/3:【顔面神経(鼓索神経)】甘味、塩味、酸味を主に感じる
  • 舌の後1/3:【舌咽神経】苦味
  • 軟口蓋  :【大錐体神経】甘味

 

これらの神経になんらかの異常が生じると味覚異常が生じ、味覚低下が認められることとなります。

 

さらに受け取る側の「脳内の異常」でも、味覚障害が生じます。これは「アウトプット」の問題で、脳腫瘍、外傷・手術等の合併によって認められます。しかし、ほとんどの味覚異常は末梢性(インプット)で、味の伝達を行う味蕾の減少・萎縮、唾液分泌の低下により生じます。

嗅覚と味覚の密接な関係性

さらに、味覚は嗅覚と密接に結びついています。舌の味蕾(みらい)は味を識別し、鼻の神経は匂いをかぎ分け、それらはともに脳へと伝達され、脳がその情報を統合することにより風味として認識し、味わうことができるのです。

 

塩味、苦味、甘味、酸味など一部の味覚は、嗅覚がなくても認識できます。しかし、甘酢っぽい、甘じょっぱい、風味豊かなものなどは、味覚と嗅覚の両方が認識される必要があります。

 

つまり、鼻が悪いと味音痴になるわけです。わさびが辛いと鼻をつまむのは、理にかなった昔からの教えですね。

味覚の検査:電流、神経を賦活させる薬など…

味覚がおかしい、と感じたとき、検査方法としては幾つかあります。

 

1.採血により亜鉛の血中濃度を調べる(開業医レベルで簡単にできます)

 

2.味覚検査(大きな病院でしかできません)

 

味覚の検査は、4つの味を種々の濃度でしみ込ませたろ紙を舌の上に置き、各々の味に対する味覚障害の程度を調べます。

 

3.電気味覚検査(大きな病院でしかできません)

 

電気味覚計により障害の程度が測定できます。微かな電気刺激で金属味が生ずることを利用したもので、舌の上に電極をあて電流の強さを変えて測ります。

 

味覚のインプットの問題では、原因を見つけそこを補うという治療法になります。亜鉛を含んだ胃薬があるので、私はよくそれを処方しています。また味覚のアウトプットの問題の方では、神経を賦活させる薬などを使いますが、時間が経てば経つほど中々治りづらくなる方法でもあります。

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