(※画像はイメージです/PIXTA)

厚生労働省から『令和4年版過労死等防止対策白書』が公表となりました。そこには過労死の原因となる、長時間労働の実態についての言及がされています。コンプライアンスが叫ばれているなか、従業員の労働時間については厳しく管理しているというのが当たり前になっている感はありますが……みていきましょう。

残業発生の理由…企業と従業員で微妙な認識差

厚生労働省『令和4年版過労死等防止対策白書』では過労死等をめぐる調査・分析結果として、長時間労働の状況について言及しています。

 

1週間当たりの実労働時間の分布をみると、「週60時間以上」の就業者の割合は8.0%。12人に1人は長時間労働状態にあります。業種別に「週60時間以上」の就業者の割合をみていくと、平均値を超えは「宿泊業、飲食サービス業」が15.3%、「運輸業、郵便業」が14.8%、「建設業」が12.5%、「農林漁業、鉱業・採石業・砂利採取業」が10.1%、「生活関連サービス業、娯楽業」が9.8%、「不動産業、物品賃貸業」が8.9%、「教育、学習支援業」が8.2%でした。

 

事業場規模別には大きな差はみられませんが、性別・就業形態別では「男性・自営業」が13.5%、「男性・会社役員」が12.6%、「男性・正社員」が11.2%、「女性・自営業」10.2%が平均値を超えています。性別・年齢別で平均値を超えていたのは「男性・50~59歳」が13.2%、「男性・40~49歳」が13.1%、「男性・30~39歳」が11.2%、「男性・20~29歳」が10.6%でした。

 

そもそもなぜ所定外労働が生じるのでしょうか。事業者側の理由として最も多かったのが「仕事の繁閑の差が大きいため」で43.5%。「人員不足しているため」35.4%、「業務量が多いため」33.6%と続きます。一方、労働者側の理由として最も多かったのが「業務量が多いため」で43.6%。「人員が不足しているため」28.8%、「仕事の繁閑の差が大きいため」21.2%。事業者側と労働者側で、少々認識の違いがみられます。また「ICTや機械化等による生産性の向上が進んでいないため」は事業者の5.1%、労働者の2.9%が理由としてあげています。

 

過労死に深く関係する長時間労働。企業として行う過労死対策としては、まず法令順守。労働基準法では1日8時間、1週間40時間を労働時間の上限とし、週1または4週間に4日以上の休日を社員に付与しなければならないとしています。いまだに長時間労働を良しとし、サービス残業が当たり前となっている、昭和体質の企業は多く、まずは意識改革から始める必要があります。

 

また医師などの相談窓口を設けることも重要です。内部の関係者だと相談しにくいので外部への委託が有効だとされています。

 

また残業や早出・休日出勤の自己申告制は、長時間労働につながりやすいもの。また最近はテレワークも当たり前となり、働き方も多様化しています。そのようななか、さまざまな働き方に柔軟に対応する労務管理システムを導入するのも効果的。勤務時間をリアルタイムで自動集計できるものであれば、人事担当の負担減にもつながります。

 

過労死を未然に防ぐ事前の対策。従業員が不安なく働き続ける環境づくりは、企業としての責務です。

 

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