(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁によると、令和2年の日本人の年間給与所得平均は433万円でした(民間給与実態統計調査)。これは1990年代からほぼ横ばいの水準ですが、物価や消費税、医療費など、支出は増えていくばかり。このような現状で「余裕の老後」を過ごすにはどうすれば良いのでしょうか。ともに45歳、年収590万円のNさんとSさんの事例から、お金を「増やせる人」と「減らす人」の決定的な差について、CFPの牧野寿和氏が解説します。

資産額より重要…生涯注視すべき「純資産額」

NさんとSさんはともに、一見日々満ち足りた生活を送っているようにみえます。しかし、“資産の果実”を成熟させる観点からみると、給与は同じでも資産を「増やせる人」と「減らす人」の決定的な差が明確になっています。

 

それは、[図表]の「純資産額」が今後増えていくのか、それとも減っていくかでわかります。

 

[図表]の「資産額」の金額からは、現在どのくらいの資産を持っているかがわかります。また現在の借入れの額は「負債額」です。「資産額」から負債(借金)の額を引いた金額が「純資産額」です。

 

「資産額」には、借入れたお金を返済中の住宅や自家用車も計上します。もちろん住宅ローンの返済額は「負債額」に計上して「純資産額」で相殺します。

 

このように「純資産額」は、現在所有している全資産を現金化できる目安の金額です。つまり、生涯生活していくうえで注視していくべき指標の金額なのです。

 

単純に比較することは難しいですが、現在のSさんの純資産額は、Nさんの「6分の1」です。

 

Nさんの総資産額は、今後老後の生活に入るまで上昇して、その後緩やかに減っていくでしょう。一方、Sさんのほうは、今後退職金などが入れば一時的に増えても、このままの生活では増える要素は見当たりません。これが現実です。

 

Sさんは退職後のライフプランの相談のために筆者の事務所へ訪れましたが、長期的なプランを作成する前に、まずは現在の収入と支出を見直しの提案をしました。

 

そして、純資産額の減少が収まるのを確認したあとに、おいしい果実が実るように適切な肥料を与えていく、長期的な提案をしたのです。

 

 

牧野 寿和

牧野FP事務所合同会社

代表社員
 

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