資産形成の明暗…「無料相談」で大損する人、「有料相談」でチャンスを掴む人の〈決定的な思考回路の差〉

資産形成の明暗…「無料相談」で大損する人、「有料相談」でチャンスを掴む人の〈決定的な思考回路の差〉
(※写真はイメージです/PIXTA)

資産形成のために、手持ちの虎の子をどうやって投資しようかあれこれ迷っている人は多いでしょう。しかし、そんな人は、見る人から見れば「おいしい獲物」なのです。「無料で相談に乗りますよ」との甘言を信じて、大変な損失を被る人もいます。資産形成をスタートするための重要ポイントを、経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

「情報は無料ではない」と胸に刻もう

投資セミナーに無料で招待されたとします。金融機関が大口顧客への感謝デーとしてサービスをしているという場合もあるでしょうが、普通に考えれば「なぜ投資が必要か、投資信託がいかに有利か」という演説を聞かされて、出口で投資信託の申込書を渡される、ということになりそうですね。

 

つまり、情報は無料ではないのです。本稿は無料ですが、読者は同時に広告も見せられているわけです。まあ本稿の場合は、商品を売りたがたっているのは筆者ではなく広告主だ、ということをご理解いただければ、筆者としては問題ないわけですが(笑)。

 

というわけで、投資をしたくなったり老後の資金についてだれかに相談したくなったりしたら、「料金を払ってプロに相談する」ということも選択肢だと思います。

 

ファイナンシャル・プランナーという仕事がありますが、これはお金に関する町医者といったところでしょうか。とりあえず町医者に相談してみて、難しそうな問題であれば大病院(お金の場合には税理士や弁護士等々)の紹介状を書いてもらう、といったイメージです。

 

無料で相談に乗ってくれるファイナンシャル・プランナーは上記のような理由で避けるとして、相談は有料で乗ってくれる人に頼みましょう。

 

もっとも、有料のファイナンシャル・プランナーといっても、顧客に見えない所で売り手から支援を受けている場合もあり得ます。そういう人にうっかり頼まないようにするには、「あなたからは絶対に金融商品を買いませんが、それでもアドバイスしてくれますね?」と確認する方法があります。もっとも、それでは角がたつので避けたいというのなら、「FIWA」というNPO法人に登録してあるファイナンシャル・プランナーのなかから探すといいかもしれません。

 

金融商品の仲介や保険販売をしないだけでなく、金融機関の宣伝に協力して収益を得ないこともルール化してあるNPOなので、安心だと思います。ちなみに、当NPOの設立には筆者も関与していますが、報酬は得ていません。

専門家に「有料アドバイス」をもらうのは合理的

現代は分業の時代です。自分で野菜を作って魚を獲って洋服も作る人はいませんね。病気になったときに自分で医学書を読んで勉強するより、医師に診てもらう方が簡単ですし正確ですね。それと同様に、専門家のアドバイスを有料で頼むことは、時として合理的なのです。

 

税理士に確定申告をお願いしたところ、2つのいいことがありました。結果として、税理士に払った代金よりも多くの金額が節税できたのです。

 

ひとつは、税務署がどこまで経費を認めてくれるのかわからないので、保守的に申告していたのですが、「もっと経費を申告しても大丈夫です」と教えてくれたことです。これは調べてわかることではなく、税務署と実際に何度も交渉している税理士だからこそわかることですね。

 

もうひとつは、思ってもいなかった項目を指摘してくれたことです。「大学生で成人の子どもがいますね。社会保険料を親が払っているなら、親の社会保険料控除になりますよ」というのです。思ってもみない、また調べようとも思わないことだったので、大変助かりました。

 

筆者は、父の相続のときに、手続き一切を信託銀行に頼みました。そのときの担当者の言葉が忘れられません。「一生に一度か二度のことのために、面倒な手続きを調べるのは大変でしょう。私は毎日やっていますから、調べる必要がありません。それなら、私の人件費に若干の利益を上乗せしても、安いものでしょう」というのです。

 

これには納得しました。現役で忙しいときだったので、「時は金なり」ということももちろんありましたが、これこそ分業というものだ、というわけですね。

 

老後資金に関するアドバイスも、同じことかもしれませんよ。毎日そればかり考えている専門家に、料金を払ってアドバイスをもらうと、自分が寝ないで考えるよりいい案が浮かぶかもしれない、というわけですね。

 

とくに「あなたと同じことを試みて失敗した人がいますよ」といった話をしてくれると、大変参考になるのではないでしょうか。

 

本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「幻冬舎ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「幻冬舎ゴールドオンライン」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義
経済評論家

 

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